バフェットの警鐘「ヘビの油売りに気をつけよ」の意味~投資で成功するためには「自分の範囲」を見極めることだ
金儲けのやり方を他人に教えるのは馬鹿げている
投資の神様・ウォーレン・バフェットは、こんな皮肉を述べている。 「ウォール・ストリートは、ベンツやポルシェを乗り回す金持ちが、地下鉄で通勤するサラリーマンに『金儲けの方法』を教えてもらう『奇妙な場所』である」 【写真】バフェットからの手紙2024年~米国市場暴落は不可避か? 私が投資業界に長年かかわってきた中で感じるのは、「事業で成功した実業家が、多くの場合、その事業で築いた財産を『未熟な投資』で溶かしてしまう」ということである。 彼らはバフェットが述べるように、ウォール・ストリートならぬ兜町・茅場町や大手町の金融機関の担当者に「金儲けの方法」を教わる。しかし、その「奇妙な関係」によって、実業家たちが(最終的に)大きな利益をあげるのを見たことがない。 これはよく考えればあたり前のことである。 読者の中にも、金融機関の営業担当者に「この商品はものすごく儲かりますよ!」と言われて、「そんなに儲かるんなら、私になんかに売らないで、あなたや金融機関が買った方がいいんじゃないの?」という突っ込みを入れたことがある方がいるのではないだろうか? 最近では、オンライン取引が主流になっているが、対面取引が中心の時代には、しばらく音沙汰の無かった営業担当者から突然電話がかかってきて「ものすごく有望な銘柄があるので一つどうですか?」などと勧められることがあった。 「胡散臭いな……」と思うと、しばらくしてからその勧められた銘柄が暴落するということが多かった。要するに、その営業担当者の懇意な顧客にすでに大量に買わせてしまい、彼らにもう買い余力がないので私のような取引の薄い顧客にまでセールスに走るというわけだ。 「100人の村」については、2019年3月7日公開「投資の神様・バフェットはなぜ『株価の下落』を喜ぶのか」2ページ目「ミスター・マーケットに振り回されるな」でも紹介した、拙著「勝ち組投資家は5年単位でマネーを動かす」で解説した。 要するに、市場を100人の村に例えれば、「もし、100人の村人のほとんどが限度一杯株式を買ってしまえば、市場は『持っている株を売りたい人』にあふれる」。逆に、これから買う余力のある人はほとんどいないから、「市場が暴落するのは必然」ということである。