昨年までとは大違い! 大きな一歩を踏み出し”違う世界”を戦うハースF1
昨シーズンをコンストラクターズランキング最下位で終えたハースF1チームは、今季最後尾を争うことになるかもしれないと懸念していたが、実際にはそれより遥かに良い滑り出しを見せた。 【ランキング】ここまで5ポイントを獲得し、ランキング7番手につけるハースF1:F1コンストラクターズランキング 下位5チームがひしめく激しい中団争いの中で、ハースは数少ないチャンスをモノにして、5戦で4回の入賞。5ポイントを獲得し、コンストラクターズランキング7番手につけている。 しかし、ハースにおける最大の変革はポイントで測れるものではない。その効果の大きさはチームの士気でしか判断できないだろうが、ドライバーのケビン・マグヌッセンとニコ・ヒュルケンベルグは公然と、チームの変化を絶賛している。 彼らは、タイヤのデグラデーション(性能劣化)に悩まされ、予選結果が良くても、順位を落とすことに怯えながらレース当日を迎えるようなことはもうないと話す。ヒュルケンベルグは以前の状況について、”間違った方向へ突き進む暴走列車”と表現した。 しかし今季は、新しいマシン、そしてエンジニアリングを優先したアプローチによって、決勝レースを楽しみにできる状況を手に入れたのだ。 マグヌッセンは次のように語った。 「日曜日に戦えるという事実はとても大きい。ゲームチェンジャーだ。昨年はとてもフラストレーションが溜まったし、22年だってその兆候が見られた。でも、そうだね、新たな再出発という感じだ」 マグヌッセンのこうした評価について聞かれたヒュルケンベルグは「昨年とは違う環境や世界にいることは間違いない」と付け加えた。 結局のところ、最大の収穫はハースのマシン特性がピーキーなものから穏やかなものへと変化したことにあると言えよう。 ヒュルケンベルグは「エアロマップをフラットにして、クルマを鈍感にしたんだ」と話した。 「それは非常に重要で、現時点での鍵になると思う」 しかし、いわゆる”サタデーカー”から”サンデーカー”への変更は、スイッチひとつで簡単に変えられるものではない。タイヤマネジメント面での改善は、空力的なアプローチとメカニカルなアプローチの両方の集大成なのだ。 ハースのテクニカルディレクターであるアンドレア・デ・ゾルドはその進歩に期待しつつも、タイヤに関して必要なことをすべて理解したと考えるのは間違いだと指摘する。 「完全に理解したというのは、大げさな言葉だ」 「でも、大きな一歩を踏み出すことができたと思う」 彼は、進歩にはふたつの意味があると見ている。第一に、今季マシンVF-24の設計がこの領域でより良くなっているのは、まったくの偶然ではなく、完全に計画通りというわけでもない。 デ・ゾルドは、オフシーズン中に行なわれた改善を振り返ってこう言った。 「我々は多くのことを学んだと思うが、同時に、計画されていなかった特徴もあると思う」 「なぜか予選よりも決勝の方が効果があったり、その逆もあったりする。だから今年のマシンはレースで少し良くなっている。それは我々にとっても驚きだった」 「我々がそれを見ていて、メカニカルな面でも空力的な面でも、その理由が何なのかを段階的に理解しているのは素晴らしいことだ。そしてそれを見て、(予選と決勝の)両方にとって良い方向に向かうように努力しているんだ」 バーレーンでのプレシーズンテストでは、ハースはマシンのすべてのダイナミクスを理解するためにロングランに専念した。 「そのおかげで多くの発見があった」とデ・ゾルドは付け加えた。 「セットアップや特性の小さなディテールによって、すべてが少し明確になった。最終的に、昨年の問題はひとつのことだけでなく、多くのことに左右されていたと思う」 「空力特性だったり、セットアップだったり、ドライビングスタイルだったり。そして、我々はそれをすべてまとめようとしていた。今年はより多くのことを理解している。それに、自分たちにできることもたくさんわかっている」 「もちろん、それには時間がかかる。だから、我々はそれに取り組んでいる。おそらく、今年中に改善できるだろうから、とても励みになる」