“ゴミ”からつくった燃料で”30年後の未来”と同じ日にデロリアンが走る……参加したくなる仕組みで社会を変える
リサイクルによって、石油など新たな“地下資源”を必要としない循環型社会をつくる。そんな壮大なビジョンのもとに事業を拡大してきたJEPLAN(本社・川崎市、旧・日本環境設計)の岩元美智彦会長。彼の名前が一躍注目されたのが、2015年に東京・お台場で行われたあるイベントでした。他の追随を許さない技術と、多くの企業を巻き込んだ仕組みづくり……岩元会長がそれらに加えて取り組むのは、「楽しむ」ことで人の心を動かす、消費者参加型のスタイルです。
【岩元美智彦(いわもと・みちひこ)】 JEPLAN(旧・日本環境設計)取締役 執行役員会長。 1964年鹿児島県生まれ。 北九州大学(現・北九州市立大学)卒業後、繊維商社に入社。 2007年1月、現社長の髙尾正樹氏とともに日本環境設計を設立。2015年アショカ・フェローに選出。 著書に『「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる』(ダイヤモンド社)。
劇中と同じ日付に走った「デロリアン」
イベントは、世界的に大ヒットしたハリウッド映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の誕生30周年を記念したもの。イベントが開かれた2015年10月21日は、映画の2作目(1989年公開)で主人公のマーティとドクが、彼らの暮らす1985年からタイムスリップしてやってきた”30年後の未来”の日付でした。 このとき、集まった観客の心を躍らせたのは、映画に登場する自動車型のタイムマシン「デロリアン」が、映画さながらに“ゴミ”からつくった燃料で実際に会場を走ったこと。この奇想天外なプロジェクトを仕掛けたのが、岩元会長(当時は社長)でした。 JEPLANは当時、古着に含まれる綿をリサイクルしてバイオエタノールを生産する事業に取り組んでいました。映画の中のデロリアンは、バナナの皮などのゴミを燃料にして走るという設定で、イベントでのデロリアンもこれにちなんで、JEPLANの事業によって古着から生産されたバイオエタノールを燃料にして走行したのです。