大谷翔平、戻ってきた好球必打 5戦ぶり16号2ラン「その他もいい打席」四球率もアップ
<ドジャース15-2レンジャーズ>◇11日(日本時間12日)◇ドジャースタジアム 【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)11日(日本時間12日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、5試合ぶりの16号2ランを放った。レンジャーズ戦に「2番DH」で出場し、2打数1安打2打点。昨季ワールドシリーズを制したレ軍戦圧勝に導いた。3四死球で5打席のうち4度出塁し、好調時のバロメーターでもある四球率が上がってきた。スタンフォード大で実戦デビューを飾った佐々木麟太郎内野手(19)の初本塁打、ブルージェイズ菊池雄星投手(32)の4勝目に続き、岩手・花巻東勢の活躍を大谷が豪快弾で締めくくった。 ◇ ◇ ◇ 大谷は捉えるべきボールを完璧に打ち砕いた。6回1死一塁、1-2から5球目の外角低めに外れるチェンジアップを見逃した。誘い球には乗らない。甘い球を待った。6球目、真ん中高めの直球をフルスイングで捉え、打った瞬間に本塁打と確信。ダメ押し弾を右中間へたたき込んだ。スタンフォード大の佐々木が実戦デビューで初本塁打を放ち、ブルージェイズ菊池が4勝目を挙げ、“花巻東勢”のトリを大谷が派手に飾った。 特長の好球必打が戻ってきた。試合後、テレビ中継のインタビューで「その他の打席も基本的にはいい打席だったので。今日は良かったんじゃないかなと思います」と話した。3四死球を含め、5打席で4度出塁。空振り三振もあったが、低めの誘い球を見送った打席の質に復調への兆しを見いだしていた。ロバーツ監督も「いくつか四球を得たのは、しばらくなかったかと思う。低めを追いかける時より、高めのボールを打っている時の方が、彼は断然いい」と評価。好不調のバロメーターはやはり、ゾーンの見極めだった。 数字にも表れている。絶好調だった5月前半、四球率は14・3%だった。一方、左太もも裏にけん制球が直撃した同16日以降の後半は、同5・5%と激減した。例年、絶頂期を迎える6月も今季はスロースタート。この日の試合を迎える前には7・9%だった四球率は、2四球を記録したことで、11・6%まで上がった。46本塁打を放った21年、本塁打王を獲得した23年はともに15%以上。徐々に、好調時に近づいている。 第1打席の四球後には、3番フリーマンの打席で二盗を決めた。15本塁打&15盗塁以上は両リーグ最速で、打率、本塁打、盗塁のトリプルスリーも射程圏内。盗塁を決めれば決めるほど、おのずと相手バッテリーは四球を嫌がり、甘い球が増える。好球必打が出来れば、相乗効果になる。大谷の2ランからチームは3年ぶりの1イニング4発と爆発し、14安打5本塁打で今季最多の15得点。昨季の世界一軍団を粉砕した。 ▼ドジャース大谷が今季16号。通算では187号だが、レンジャーズ戦では通算20本目。20本に到達した対戦相手は初めて。日本人では松井秀喜のレイズ戦(23本)以来2人目。打球速度114・2マイル(約184キロ)は今季2番目に速い本塁打だった。 ★花巻東OBトリオの高校時代 ◆菊池雄星(07~09年) 1年夏、3年春、夏に甲子園出場。3年春は岩手県勢初の準優勝を導いた。3年夏は明豊戦で今宮健太(現ソフトバンク)との投げ合うなど4強入り。155キロをマークした。ドラフトではレンジャーズと面談したが、最終的にメジャー志望を取り下げ、6球団競合の末に西武入り。 ◆大谷翔平(10~12年) 2年夏、3年春に甲子園出場。大阪桐蔭・藤浪晋太郎、愛工大名電・浜田達郎と「ビッグ3」として注目される。3年春は初戦で藤浪から本塁打を放ったが、投手では9失点で敗れた。高校時代の最速は160キロ。ドラフトではメジャー志望を宣言も、日本ハムが強行指名。入団にこぎつけた。 ◆佐々木麟太郎(21~23年) 父洋さんが監督を務めるチームで2年春、3年夏に甲子園出場。2年春は4打数無安打、8強入りした3年夏は16打数6安打。高校通算140本塁打(公式戦18本)は早実・清宮の111本を超えた。ドラフトでは1位指名が確実視も、プロ志望届を提出せずに米スタンフォード大進学。