「ねんきん定期便の年金額では暮らしていけない」56歳女性のライフプラン再設計
会社員のAさん(56歳)はねんきん定期便を見て、この年金額では老後の生活費には足りないことに気がつきました。「このままで老後資金は大丈夫なのかを確認したい、何か対策が必要であれば始めたい」とFPである筆者のもとに相談に来られました。 【相談内容】 これまで仕事や子育てで忙しく、なかなか自分の老後のことまで考える余裕がありませんでした。ねんきん定期便が届いても、まだ先のことだし、と軽く目を通す程度でよく理解していませんでしたが、今年届いたねんきん定期便の年金の見込額を見て、「これだけでは暮らしていけない」と気がつきました。今の貯蓄だけでは心もとなく、今後の働き方や資産形成も含め、老後資金について相談したいと思っています。 【画像】支給停止されない場合とされる場合 【相談者プロフィール】 ・性別:女性 ・年齢:56歳 ・職業:会社員 ・家族構成:独身(子どもは独立) ・住居:関東(親と同居) 【収入】手取り収入合計:年間約352万円 ・毎月の手取り金額:約25.2万円 ・年間の手取りボーナス額:約50万円 【支出】 ・毎月の支出目安:21万円 (内訳) ・住居費:2万円(火災保険料、固定資産税他) ・食費:5万円 ・水道光熱費:2万円 ・保険料:2万円 ・通信費:1万5千円 ・美容・被服費:3万円 ・趣味・娯楽:3万円 ・新聞・書籍:5千円 ・その他:2万円(日用品、医療費他) 【資産状況】 ・現在の預貯金総額:500万円 (年間貯蓄額:50万円) ・現在の投資総額:なし ・現在の負債:なし
ねんきん定期便の年金額の違い
まず、ねんきん定期便に記載されている「年金額」の見方について解説します。ねんきん定期便は、50歳未満か50歳以上かで様式が違い、記載されている年金額の計算方法も異なります。 ・50歳未満のねんきん定期便 記載されている年金額は、「これまでの加入実績に応じた年金額」です。ねんきん定期便作成時点の年金加入実績に応じて計算した年金額なので、今後も保険料を納付することで、年金額は増えていきます。 ・50歳以上のねんきん定期便 60歳未満の方は、現在の年金加入制度に60歳まで継続して加入したと仮定して、65歳から受け取れる年金見込額が記載されます。 ただし、記載されている年金見込額は、ねんきん定期便作成時点の収入額が60歳まで変わらない前提で計算されています。現在よりも収入が増えたり、60歳以降も厚生年金保険料を納めながら働いたりする場合は、年金額が増える可能性があります。 一方、60歳前に退職、収入額が減少する場合は、記載されている年金見込額よりも減る可能性があります。50歳未満の場合、記載されている年金額は途中経過のため、自分が老後に受け取れる年金額としてまだ実感を持ちにくいでしょう。50歳以上の場合は、記載されている年金額が実際の老後資金として現実味のある金額として捉えられるようになります。 自分が受け取る年金額を知ることが、老後資金に向き合うための第一歩です。記載されている年金額は年額です。12で割ってひと月分はいくらなのか、計算してみましょう。現在の生活費から老後の生活費を想定して、記載されている年金額で足りないようであれば、働き方や資産形成などによる対策を考える必要があります。