巨人大物OBが「村田切って1年で中島獲得」の“ぶれぶれ矛盾補強”に疑念と批判
西武FAの炭谷獲得濃厚にも疑問
「おそらく炭谷も丸も巨人を選択するだろう。小林(誠司)がいて炭谷をなぜ獲得するのか、理由がまったくわからないし、過去の例を見ればわかるが、他球団で活躍していた選手が必ずしも巨人で結果を出せるとは限らない。今年も中日の4番のゲレーロ、西武の先発ローテーにいた野上を取ったが失敗した。巨人でプレーするプレッシャーは他球団と違う。他の若手選手が見習うような選手をFAで獲得するのならば、そこに違った意義があるのかもしれないが、いつまで同じようなチーム強化を続けるつもりなのか。FA補強は、私たちは選手を教えるコーチがいません、と言っているようなものだ」 広岡氏が指摘するようにゲレーロ(32)は15本塁打にとどまり、途中、2軍落ちもした。野上亮磨(31)に至っては、終盤、中継ぎでフル回転はしたが、わずか4勝で期待を裏切った。 2016年オフには、史上初となるFA3人獲得で、横浜DeNAの山口俊(31)、ソフトバンクの森福允彦(32)、日ハムの陽岱鋼(31)の3選手を補強したが、初年度は、山口は1勝、森福も左の中継ぎとして定着できず、陽も怪我に苦しみ87試合出場、打率.264、9本、33打点と期待を裏切った。 ここ10年のFA獲得選手の成績を見ても、成功したのは、ソフトバンクから移籍して3年連続で2桁勝利し、移籍後通算39勝を挙げ、今オフ、2軍投手コーチに就任した杉内俊哉、通算109本塁打を放っている村田修一くらい。それでも、同時進行で、若手育成に力を入れるならまだしも、それを阻害するような動きを見せているのが不思議だ。 今月上旬に行われたMLBオールスター選抜とのエキシビジョンマッチでは、育成出身の松原聖弥(23)が代打ランニング3ランをマークするなど躍動。投手陣では、高卒2年目の20歳の高田萌生、大江竜聖(19)、3年目のドラフト1位の桜井俊貴(25)、今季わずか2勝に終わった田口麗斗(23)、昨年のドラフト1位の鍬原拓也(22)ら平均年齢21.8歳の5人の若手投手を繰り出した。 育てるべき若手の人材はいるのだ。 「原が目立っているようでは駄目だ。おそらく補強についても原が中心になって動いているのだろう。しかし、本当にやるべきは、2軍、3軍に目配せをすること。生え抜きの若手を育てないと巨人は、永遠に大型補強型のチーム強化から脱皮できない」 広岡氏の意見は、まさに正論。球界大御所の主張に反論するには「優勝」という結果をもって答えるしかない。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)