再放送で話題の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」が大阪に? 名劇伴に浸る2日間
■42歳での転機、「楽器を奪われた」からこそ見えてきたもの
金子は米米CLUB、オルケスタ・デ・ラ・ルスなどで活躍し、自らホーン・セクション・ユニット「BIG HORNS BEE」を主宰するサックス奏者として知られるが、42歳のときにジストニアを発症。以降は作曲家・プロデューサー・ピアニストとして活躍し、現在に至る。金子の経歴は、原因不明の病で突如トランペットを吹けなくなってピアニストに転向した『カムカム』の登場人物で、るい(深津絵里)の夫・ジョー(オダギリジョー)の人物造形に重なる。 「42歳でサックスを吹けなくなったことは『転機』でした。それまではブラックミュージックを中心としたファンクを吹くことを信条としていたんですが、僕は楽器を奪われたことで、音楽全体を見ることができるようになったのかもしれないですね」と語る金子。劇中でのジョーの人生について、こう述べた。 「ジョーのことを書くにあたって、脚本家の藤本有紀さんから僕に『取材してもいいですか』と、はじめの頃にお話がありました。どんな症状で、どんな時に発症したのか、ということを聞かれて、お話ししました。やはり、当事者でないとわからないじゃないですか。『ジョーの人生は金子の人生だ』というふうに言ってくださる方も多くいらして、ありがたいことです。しかも、僕の誕生日は安子と同じ3月22日なんですよ。何かとご縁のあるドラマですね。劇伴を担当するのは僕しかいなかったでしょう(笑)」。
■ 「ここ半年はリハビリを…」20年ぶりの演奏へ
そして今回のコンサートは、金子自身が20年ぶりにサックスの演奏も披露するという。「医療が進化して、今では1錠飲むとしばらく症状が収まる薬があるんです。効いている短時間だけ、サックスが吹けるようになりました。ただ、20年吹いていなかったので、ここ半年間はずっとリハビリをしていました」と明かす。 続けて、「ジョーの時代、あるいはそれ以前からも実際に原因不明の病で、病名すらわからないまま楽器が演奏できなくなったミュージシャンもたくさんいらしたと聞きます。このまま医療がどんどん発達して、完全にジストニアが治る世界が来てくれたら、と願っていますし、そこまでは頑張りたいなと思います」とコメント。 最後に、同コンサートについて「とにかく『カムカム』ファンの方に楽しんでいただけるような内容にしたいと考えています。将来的に、こうしたクリスマスイベントを年に1回『カムカムファンが集う日』にできたらいいなと思っています」と、意気込んだ。 ◇ 『「カムカムエヴリバディ」なクリスマス 』は12月24日・25日の2日間、「新歌舞伎座」(大阪市天王寺区)にて開催される。チケットはS席9000円、A席4000円、「新歌舞伎座ネットチケット」にて発売中。