フェルスタッペンが”フェラーリ”をテスト!? DTMの296 GT3をテストしたワケ
F1王者のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポルトガルのDTMチーム、エミル・フレイ・レーシングの2日間のテストに参加し、フェラーリのGT3マシンである296 GT3をドライブしている写真が出回ったことは大きな話題を呼んだ。 【ギャラリー】全部でなんと23種類! みんなのお気に入りはどれ? F1 2023年シーズン、特別マシンカラーリングまとめ フェルスタッペンは、同じオランダ人で21歳のティエリー・バーミューレンをサポートしており、今回のテストでは彼のマシンをフェルスタッペンがテストしたようだ。 フェルスタッペンとチームは、様々なセットアップを試し、目標を明確に定義し、集中的なテストプログラムを考案するために協力し合ったことから、非常に有意義なテストになったようだ。 「マックスとのテストの目的は、ティエリーをサポートすることと、彼のフィードバックによって我々のパフォーマンスを向上させることだった」 チーム代表のロレンツ・フレイヒルティはmotorsport.comの姉妹サイト『Motorsport-Total.com』にそう語った。 「彼は2日間とも運転した。初日は約100周で交代した。たくさんテストしたよ」 「彼がレーシング・チームとして我々のサービスを利用してくれていること、そしてテストデーに我々が彼と一緒に仕事ができたことを光栄に思っている。本当に素晴らしいことだ」 テストには、フェルスタッペンとバーミューレン双方の父親も帯同していた。ヨス・フェルスタッペンがティエリー・バーミューレンのドライバーコーチを務め、バーミューレンの父レイモンドがマックス・フェルスタッペンのマネージャーを務めているからだ。 フレイヒルティはフェルスタッペンがステアリングを握る姿を見て大いに感銘を受け、そのフィードバックを称賛した。 「有名人に会うと、常に興味深いものだ。その人のことを知っているつもりでも、実際に会うとまったく別人になってしまう。彼は驚くほど実直で、本当にいい人なんだ」 「そして、彼がモータースポーツに対してどれほどの情熱を持っていて、何を成し遂げているのかを知ることができるのは嬉しいことだ」 「GT3マシンであっても、彼のフィードバックはこれまで見てきたものとは別次元だ。彼はワールドクラスだ」 フェルスタッペンはGT3マシンでレースをした経験はないが、フレイヒルティによるとほとんど時間をかけることなく296 GT3に適応することができたのだという。 「彼はマシンに乗り込み、最初のフライングラップでパフォーマンスを発揮した。オンボードやデータを見ると、マシンの扱い方は非常に印象的だ。彼がいかに素早くマシンに適応し、常に最大限の力を引き出そうとしているかなどね」 「現場には他のGT3マシンもいたが、それとはレベルが違うとしか言いようがない」 バーミューレンは2020年からGT4でドライブしており、2023年はDTMに初参戦。ランキング16位、ベストフィニッシュは5位だった。 フェルスタッペンが見せた速さは、バーミューレンが学ぶべきことが多いことを意味しているだろう。 「ティエリーはとても野心的で、もちろんマックスのタイムと自分を比較している。彼のベンチマークは世界最高のドライバーなのだから」と、フレイヒルティは語った。 「GT3マシンの経験がないために輝けない優秀なフォーミュラドライバーはたくさんいる。マックスは違う。彼は4輪であれば何でも信じられないほど速く動かすことができる」 2日間のテストはバーミューレンの助けになっただけでなく、2023年にランボルギーニからフェラーリに車両をスイッチしたチームにとっても大きなメリットをもたらしたようだ。 フェルスタッペンは2023年7月にムジェロで行なわれたテストでも、コンマ数秒のタイムアップに貢献していたと、フレイヒルトは明かした。 「特に車両開発という点で、彼は素晴らしい」 「物理法則はどこでも一緒だが、車両のコンセプトは異なる。でも、彼と一緒にさまざまなセッティングをテストすることで、彼のインプットが車両のパフォーマンスに大いに役立つんだ」 「もちろん今回、我々は信じられないほどの量の分析できるデータを持っており、最終的にはドライバーがそれを実行できなければならない」 「しかし前回のテストでも、たった2日間で多くの新しい経験を得ることができ、マシンを改善することができた。これはティエリーだけでなく、チームとしても非常に大きな力になっている」 「彼の発言の正確さにはいつも驚かされる。ゲームで常にセットアップをいじっているのもわかる」 「彼がF1だけでなく、モータースポーツ全般に興味を持っていることにも驚かされた。彼はあらゆるレースシリーズ、ドライバー、チームについて知っている」 「他の人たちが休暇をとっているときでも、彼はトレーニングに励み、レースに参加している。それが彼をワールドチャンピオンにした理由だと思う」 テストとは別に、フェルスタッペンは11月のラスベガスGPの前にスイスのサフェンヴィルにあるエミル・フレイ・レーシングのワークショップを訪れている。 「我々のレーシング・ワークショップと、将来の計画を一緒に立てるために我々がどのようにセットアップされているかを見ることが彼の希望だった」とフレイヒルトは語った。 「彼はシミュレータのスペシャリストでもあり、我々の施設を試してくれた。彼はすでにレーストラックで我々のマシンを走らせたことがあるので、どうすれば改善できるかについて素晴らしいフィードバックを与えてくれたんだ」
Sven Haidinger