【アジアカップ】ベスト8敗退で浮き彫りになった「目標と戦い方の整備」の必要性
アジアカップは開催国であるカタールが決勝でヨルダンを下し、2019年に続く大会連覇を飾って幕を閉じた。2大会連続優勝は2000年レバノン大会、2004年中国大会を制した日本以来の快挙だった。一方、日本は2015年オーストラリア大会以来となるベスト8敗退。グループリーグ第2戦のイラク戦では、実に35年ぶりという黒星を喫したほか、全5試合で失点し、合計8失点と守備のもろさが目立った。
ロングボールとロングスローに対する守備のもろさを露呈した日本
特に、準々決勝のイラン戦では前半のうちに先制したにもかかわらず、後半10分にショートカウンターから簡単に失点を許して1-1とされると、その後はほとんど防戦一方。後半アディショナルタイムの96分に献上したPKを決められ、逆転負けを喫した。 日本は昨年6月15日のエルサルバドル戦からアジアカップグループリーグ初戦のベトナム戦まで国際Aマッチ10連勝を飾っていたが、そのうち9試合が前半でリードを奪っており、例外は前半0-0で折り返した1月1日のタイ戦だけだった。 リードを守り切れなかった要因として、ロングボールに対応できず押し込まれたことであることは明らかだが、もうひとつ、ロングスローも日本の守備陣にボディブローを与えるように苦しめた。これに関してはMF久保建英の見解が的を射ていた。 「後半に入って相手に2、3回ロングスローを作られて、嫌な流れだなと思ったら、相手もそれに味をしめて、とりあえず蹴ってきた。タッチラインを割ってもロングスローがあるよということで(日本が)押し込まれて嫌な展開になった」(久保) こうなった伏線はグループリーグ第3戦のインドネシア戦にある。日本は3-0とリードしていた91分、相手のロングスローからファーサイドの選手をフリーにさせてシュートを決められ、クリーンシートを逃していた。 今大会ではロングスローをセットプレーと同格の戦術として活用している国がいくつかあり、イランは7番のMFジャハンバフシュが左右どちらのサイドからもスローインを担当した。日本はロングスローを含めてセットプレーから5失点しており、分かりやすい弱点を世界中に露呈してしまったことになる。 また、ロングボール対策に関してはMF遠藤航が根本的な部分について危機感を露わにしている。 遠藤はグループリーグ第2戦でイラクに1-2で敗れた時、「イラクの選手はシンプルに蹴ってきた時もラフなボールに対しての予測力が高い。日本に欠けているところかなと思う」と指摘していた。日本では育成年代からレベルの高いチームで育ってきた選手ほど、ロングボールに慣れる機会が少ない。これについては何かしらの対策が必要なのではないか。 遠藤は、「ガムシャラに長いボールを蹴ってくるとか、ちょっと汚いプレーとか、それも含めてサッカー。W杯アジア予選でも同じようなシチュエーションは起こると思う」と警戒を強めている。世界の強豪を倒すための道筋とは異なるので、「アジア対策は別で考えるべき」とも語っていた。