三幸製菓、全社一丸で体質改善と品質向上 「米菓事業の筋肉質化」「新規領域の開拓」「経営基盤の強化」が柱
三幸製菓は来期(9月期)、中期経営計画の2年目に入り、引き続き “質を追求するリーディングカンパニーに生まれ変わる”を掲げ“優品適価(ゆうひんてきか)”な商品を提供すべく全社一丸で体質改善と品質向上に努めている。 優品適価は、同社が過去追求してきた、より良いものをよりお手頃な価格で販売する“良品廉価”に代わる考え方で、単なる高付加価値化とは異なり、価値に見合った多様な価格帯、形態などを意味する。 体質改善と品質向上に向けて「米菓事業の筋肉質化」「新規領域の開拓」「経営基盤の強化」の主に3つの施策に継続して取り組んでいく。 米菓事業では、主力ブランドを中心に若年層に向けたアプロ―チを強化する。その先例には2月下旬から順次展開しているカプセルトイやSNSキャンペーンの強化などが挙げられる。 新規領域の開拓については「既存事業に留まらず、売場や販売先を開拓していく。三幸製菓というコーポレートブランドを広く認知いただきたいし、海外市場へも挑戦していきたい」(三幸製菓)とコメント。 経営基盤の強化の取り組みとしては、昨年策定したサステナブル経営計画を推進。12のマテリアリティを設定し全社で企業価値を高める施策に取り組んでいる。 製造現場では、ガスを利用する設備の見直しや製法の見直しに着手。「製法を見直すことで生産工程の短縮を実現し、工場における利用エネルギー総量の削減に取り組んでいる」。 3月には組織変更を実施。4月1日付で佐藤元保前代表取締役CEOが退任し、山下仁氏(前取締役社長 COO)が代表取締役社長に就任。新たに、経営本部と事業本部の2本部制を敷く。 2022年2月に発生した荒川工場火災事故の再発を防止すべく、22年5月に社内全部署の総合安全の横断的な推進と監視を行う総合安全品質保証室を新設。 事業本部は、商品の企画開発・マーケティング・製造・営業・物流の創製配販を担っており、経営本部では、経営企画機能と経営管理機能を担当している。 今期(9月期)売上高は、前年比2桁増の530億円を見込む。前出の荒川工場敷地内1工場の焼失に加え老朽化による新崎工場敷地内2工場を閉鎖した中で、安全安心を大前提に効率化を図り生産能力は全盛期の8割程度まで回復した。 21年度売上高は580億円。再成長に向けて、全従業員で取り組んでいる。