不安な老後の「お金」、3つの“わからない”を把握する
老後に「入ってくるお金」を把握しよう!
次に収入です。自分が特に何もしなくても老後に入ってくるお金は、公的年金、それにサラリーマンであれば、退職金や企業年金などもあります。(ない場合もありますが)まずはこれらの金額を知ることが必要です。 私はいつも講演会で老後生活のお話をする時に、参加者のみなさんにこう尋ねます。 「老後のお金が不安だという方は手を上げてみてください」 するとほとんど全員の方が手を上げます。次に質問をします。 「ではなぜ、不安なのですか」 多くの方はこういう答えを返してきます。 「だって年金が不安だから」 そこで今度はこう尋ねます。 「なるほど、ではあなたは自分の年金がどれぐらいもらえるかをご存知なのですよね?」 するとほとんどの人は「いいえ、知りません」と答えます。これは論理的に考えると変です。年金がいくらもらえるか知っていてその金額が少ないから不安だというのであればわかりますが、金額も知らないのに不安だというのは、どこかおかしいですよね。やはりここでも“わからない”ことが不安を引き起こしているということなのでしょう。 公的年金は「ねんきん定期便」を見ればわかりますし、退職金や企業年金は会社に聞けばわかることですから、自助努力で稼いだり増やしたりして収入を図る以前に、まずこれらの金額を把握することが必要です。 40代の人にとって、老後の暮らしというのはまだ誰も経験したことがありません。だから不安なのです。だとすれば現在、できるだけ可能なシミュレーションを行うことによって“わからないこと”を“わかるようにする”ことがまず大切なことではないでしょうか。 (経済コラムニスト・大江英樹)