今季2度の2位から優勝、全国ベスト8以上へ。札幌大谷が札幌創成との延長戦を制し、決勝進出:北海道
[10.27 選手権北海道予選準決勝 札幌創成高 1-2(延長)札幌大谷高 札幌サッカーアミューズメントパーク] 【写真】ジダンとフィーゴに“削られる”日本人に再脚光「すげえ構図」「2人がかりで止めようとしてる」 札幌大谷が延長戦を制し、決勝進出! 27日、第103回全国高校サッカー選手権北海道予選準決勝が行われた。札幌創成高と札幌大谷高との一戦は、延長前半7分にFW簗詰夕喜(3年)が決勝点を決め、札幌大谷が2-1で勝利。札幌大谷は4年ぶり4回目の選手権出場をかけ、11月2日の決勝で旭川実高と戦う。 札幌大谷は今年のインターハイに出場し、ベスト16。この日の先発はGKが高路地琉葦(3年)で、DFは右SB森詩音(3年)、CB岡拓希(2年)、CB大石蓮斗(2年)、左SB今井朝陽(2年)の4バック。中盤は今治内定の笹修大主将(3年、U-17日本高校選抜)と斎藤匡汰(3年)がダブルボランチを組み、右SH曽我部修羽(3年)、左SH松本陽翔(3年)、そして2トップを田村佑太(3年)と真浦劉(3年)が務めた。 一方、札幌創成は昨年のインターハイ出場校でCB森恭亮主将(3年)や10番MF加我咲大(3年)ら9人の全国経験者を残している。初の決勝進出をかけた準決勝の先発は、GK名取煌平(3年)、右SB大坂恵也(3年)、CB米田來禅(3年)、CB森、左SB須貝翔(3年)、中盤の底の位置に白石颯月(3年)が入り、その前方に佐野元紀(3年)と加我。そして、右WG細川櫂吏(3年)、左WG澤田士道(1年)、CFを芦谷悠毅(2年)が務めた。 前半、札幌大谷が切り替えの速い守備と攻撃力の高さで主導権を握る。9分には笹からボールを受けた斎藤がスルーパス。真浦の右足シュートは札幌創成CB米田にブロックされたが、10分にもダイナミックな攻守でボールに係わる笹がクロスからヘッドを打ち込む。その後も、GK近くまで下がってパスを引き出す笹を起点にボールを細かく動かし、曽我部と松本の両翼や田村の鋭いドリブルも交えてゴールに迫った。 27分には、右へ開いた真浦とのコンビで森がインナーラップ。一気にDFを剥がしてゴールエリアまで持ち込み、左足を振り抜く。これは飛び出した札幌創成GK名取がストップ。1月に膝の大怪我を負っている森だが、清水隆行監督が「リハビリをちゃんとやって、トレーニングしたら爆発的に速くなりました。このようなプレーがどんどん出てくる。そういう意味では凄く成長している」と評した高速SBの攻め上がりもアクセントにして、札幌大谷は相手にプレッシャーをかけた。 一方の札幌創成はアプローチで寄せ切れない部分もあったが、徐々に慣れると攻撃センスの光る加我やキープ力に秀でた白井を中心に丁寧なビルドアップ。前線ではフィジカル能力の高い芦谷がボールを収めて起点を作る。15分には佐野の右足ミドルがDFに当たってゴール方向へ向かう。これは札幌大谷GK高路地に反応されたものの、29分にも左クロスのこぼれ球からチャンス。細川が右足で狙うが、札幌大谷は左SB今井がブロックして先制点を許さない。 すると、前半32分に札幌大谷がリードを奪う。この日抜群の高さを発揮していたCB大石が自陣から頭で大きく前へ。これをFW真浦が落とすと、笹が1タッチで右前方へはたく。パスを受けた曽我部がゴール方向へのドリブルから、左足シュートをゴール右隅へ叩き込んだ。 札幌創成はCB森がDFラインを統率しながら落ち着いて試合を進めていたが、痛い失点。それでも、ボールを大事にしながら反撃し、速攻からシュートシーンも作り出す。後半3分には澤田の左クロスのこぼれに芦谷が反応。身体で押し込もうとするが、札幌大谷MF笹がかき出す。札幌創成は連続攻撃でゴールへ迫るも、相手CB大石のヘッド、シュートブロックに阻まれた。 それでも、セットプレーも交えて攻める札幌創成は13分、中盤でセカンドボールを回収した加我がドリブルで1人をかわしてパス。澤田の1タッチパスは札幌大谷DFに阻まれた。だが、こぼれ球を奪い返した澤田が反転しながら左足シュート。これをゴール右隅に突き刺した。 期待の1年生MFが、大仕事。追いつかれた札幌大谷は17分、真浦に代えてプリンスリーグ北海道得点王の簗詰を投入する。直後には遠藤の縦パスに反応した簗詰の右足シュートがクロスバーを叩く。札幌大谷は28分にも田村とFW遠藤煌太(2年)をスイッチ。その直後の29分、縦パスを絶妙なコントロールで収めた笹が右サイドから斜めのパスを入れる。これを受けた簗詰が1タッチでPAへ侵入。強引に前に出たところをGKにファウルで止められ、PKを獲得した。 だが、自ら蹴った右足PKは枠上へ。札幌創成は31分に米田をCB池田碧杜(2年)と交代した。この後、1-1のまま試合は進み、40+7分に札幌創成は加我のラストパスから佐野が決定的な左足シュート。だが、札幌大谷GK高路地が止め、延長戦へ突入した。 札幌大谷は延長前半開始から松本をMF中村哲爾(2年)へ交代。迎えた、前半7分に札幌大谷が勝ち越す。森の右クロスによって左CKを獲得。これを曽我部が右足で入れると、ファーの笹がDF頭上からのヘッドで折り返す。これを簗詰が頭で押し込み、2-1とした。後半にPK失敗も、延長開始前に清水監督から「まだピッチに立ってるから、点を取るチャンスがあるんだから、気にしないで点を取りに行ってこい」と送り出されていたという簗詰が殊勲のゴール。決勝進出へ大きく前進した。 札幌創成は直後に須貝に代えて左SB工藤颯馬(1年)を投入。札幌大谷は笹の発案で笹をアンカーに置いた4-1-4-1へ移行し、守りを固める。延長後半3分には簗詰に代えてMF菊谷輝(2年)をピッチへ。役割を明確にし、逃げ切りを図る。札幌創成は交代出場の工藤の攻め上がりや左足FKなどで反撃。だが、笹や岡、大石中心に跳ね返した札幌大谷が2-1で決勝進出を果たした。 札幌大谷はインターハイ予選決勝で旭川実に敗れて2位。プリンスリーグ北海道でも札幌U-18に続く2位で大会を終えている。清水監督は「インターハイは結局決勝で勝てなくて、プリンスリーグも2位だったんで。選手権は選手がぜひ取りたいっていう思いが強いから。旭川実業さん、もちろん物凄く力があるチームだと思うんですけど、プリンスで1つ勝ってるっていうところもあるので、そういう意味では選手も臆することなく戦ってくれるんじゃないか」と期待する。 また、来年からプロ入りする笹は、「目の前でコンサドーレさんと旭川実業さんに、自分たちが試合終わった後にカップ上げを見せられて、自分はほんと悔しい思いをしてますし、チーム全員同じ思いだと思うんですけど、そういう中で最後、北海道大会をやっぱ取って、全国行ってベスト8以上って部分を達成できないと、自分としてのキャリアの部分でも凄く大きなものなりますし、そこの部分はしっかりこだわって、全員で死ぬ気で取っていきたいです」と宣言。チームは2試合を戦ったインターハイの反省から、より実践的なシュート練習を重ね、身体を張った守備にもこだわってきた。2度の2位の悔しさを選手権予選で晴らし、札幌ドーム(大和ハウス プレミストドーム)で優勝を喜ぶ。