「不用品とは一言も言っていないのに…」引越しシーズンで注意したい「不用品回収詐欺」の手口と防止策
トラブル多発の「不用品回収」…高齢者を狙ったケースも
引越しシーズンで不用品回収業者への依頼を検討する人も多いだろう。 そんな中、引越しまで時間がなく、ネット検索で見つけた業者に依頼したところ、法外な金額を要求されたといったトラブルは多数ある。そもそも不用品回収業者自体がグレーゾーンだという指摘もある。 【意外と高価!】納得…! あのブックオフが「銀歯」の買い取りを始めた理由 私事だが、先日、実家で不用品回収業者に自転車と夏用タイヤを勝手に持って行かれてしまうというトラブルがあった。 同居の家族が仕事で不在の間、業者が突然やって来て、一人在宅だった90代の父に自転車に乗っているか、車に乗っているかと尋ねた。それに対し、父が乗っていないと返答すると、あげるとは一言も言っていないのに、持っていってしまったそうだ。 しかし、警察に相談しても「使っていない」というやりとりで、要らないと業者が判断したのだろうから、窃盗にはならないと言われるばかり。 被害届も「出したかったら出してもいいが、結果は変わらない」、「犯人がわかればの話だが、そこは警察ではなく、弁護士などに相談する話」と言われ、「預かり」扱いになっただけだという。 となると、もはや泣き寝入りするしかないのか。弁護士経験20年以上、多種多様な問題を解決してきた近藤公人弁護士に聞いた。 ◆実際に「取り戻すこと」はほとんど無理 「こうした不用品回収業者のトラブルは多数ありますが、実際に取り戻すことはほとんど無理なので、相談では断っています。最低でも10万円くらいは費用がかかってしまうので、それだけの価値があるのか、費用対効果を考えたらやめておいた方がいいとお伝えし、消費者センターに相談をお勧めしていますね」 とはいえ、1つ問題があると近藤氏は指摘する。 「タイヤの持ち主がお父さんだったら、業者とのやりとりで不要と判断されたとしても仕方ないかもしれないですが、タイヤは同居の娘さんのものですよね? その場合、お父さんに処分権限はないので、同居のご家族が被害届を出すべき。おそらく業者はお父さんのものだと思って、錯誤がありましたという言い分でしょうが、タイヤの持ち主であるご家族が被害届を出したら警察も対応しないといけないですよ」 高齢者を狙った不用品回収業者のトラブルも多いようだが、例えば認知症の有無で警察の対応は変わるのかという点については 「一応変わると思いますが、認知症は第三者にはすぐ判断できないため『判断能力があると思った』で逃げてしまうと思います。それを防ぐためには、後見人制度を使い、売買は基本的に無効にするという方法がありますが、手続きなどがいろいろ大変です」 ちなみに、今回の場合、業者は何の書類も名刺も渡さずに回収していったため、基本的に「窃盗」と言えるそうだが、「その場の会話内容の録音などがないと刑事事件にできない」ということだった。