下山中に「あっ」 迫る岩、そして頭に衝撃「遭難はこうやって」…山で守ってくれたのは
「あっ」と思った時には体が宙に浮き、左前方へ頭からつんのめっていた。見るからに硬そうな岩が迫ってくる。「頭が当たる」「けがで済むかなあ」「遭難はこうやって発生するんだきっと」。短い時間にそんなことを思った。その直後、ヘルメット越しに「くしゃっ」という音がして、衝撃があった。 【グラフ】長野県内の山岳遭難者、死傷者別割合
4年前、長野、岐阜県境の御嶽山頂剣ケ峰(3067メートル)で取材を終え、下山を始めた時のことだ。岩が点在する乾いた登山道でつまずき、転んだのだ。 けがはなかった。ヘルメットはへこみ、岩とこすれた跡があった。登山中のヘルメット着用を呼びかける記事を書いたことがあった。ヘルメットの力を、身をもって知る一件となった。 今年も夏山シーズンがやってきた。ヘルメットはもちろん、万が一の時に困らない装備を整えて登ろう。改めてそう思った。(吾)