中国、金門島付近で台湾漁船を拿捕…台湾「即時送還を」
台湾が管轄する金門島の近隣で操業中だった台湾漁船1隻が中国に拿捕されて抑留中だと、台湾政府が明らかにした。台湾海警が漁船を追跡する過程で中国海警と対峙し、両岸(中国と台湾)間の緊張が高まっている。 台湾聯合報によると、2日午後8時14分、中国海警船2隻が金門島付近で台湾漁船の大進満88号を検査した後、中国福建省の囲頭港に連行した。 台湾海洋委員会によると、台湾海警は大進満88号の船主から通報を受けた後、海警船2隻を急派して救助に入った。台湾側は中国海岸警備隊の船舶に「漁船を即時解放するべき」と放送で要請したが、中国側が「妨害するな」として拒否したと明らかにした。 委員会は「台湾海警は対立の拡大を避けるために追撃を中断した」とし「中国は両岸関係を害する行為を自制し、船員と漁船を直ちに送還するべきだ」と求めた。続いて「船員が両国間の緊張の犠牲になってはいけない」と強調した。この船舶には台湾人と外国人の船員6人が乗っていたという。 ◆中国、台湾現役軍人3カ月前から拘禁 中国は最近、台湾金門島付近で軍事訓練をしたり船舶検問を強化したりするなど、台湾に対する圧力を強めている。金門島は台湾本島とは約200キロ離れているが、中国福建省廈門とはわずか4キロの距離にあり、台湾の戦略的要衝地と評価される。 3日の台湾中央通信社の報道によると、今年1-6月、中国船舶の進入を防ぐ台湾金門島付近の制限水域を中国船舶が29回航海した。特に台湾独立派の頼清徳総統が5月に就任した後、中国は数日間、金門島周辺で軍事訓練を実施した。 金門島をめぐり両岸関係が悪化した理由は、今年2月に中国漁民2人が金門島で不法操業をし、台湾海警船が追撃する過程で溺死したからだ。これを契機に中国側は同月18日、金門島付近の海域を「常時巡察」すると発表した。 フィナンシャルタイムズ(FT)は「台湾の国家安保高官によると、中国船舶は最近ほぼ毎日、金門島周辺を航海している」と伝えた。このほか中国当局は国境統制規則を違反したと疑われる場合、海警はいつでも拘禁可能という規定を最近設けた。 3月にも金門島近隣海域で濃霧のため航路を誤った台湾船舶が中国に拿捕された。当時、船舶には2人が乗っていた。このうち1人は解放されたが、副士官だった胡氏は3カ月以上も中国に拘束された状態だ。 中国当局は胡氏が軍人であることを故意に隠して職業を偽ったとして抑留した。胡氏はその後、家族を通して退役を申請して軍服を脱いだが、依然として中国で取り調べを受けている。先月、胡氏の母は中国で息子と面会した後、頼清徳総統に「息子が早期に戻れるようにしてほしい」と促した。 このほか中国政府は先月、台湾独立を主張する分離主義者に最高死刑を宣告できるという指針を発表した。これに対抗して台湾は中国本土・香港・マカオに対する旅行警報を格上げするなど両岸の緊張が高まっている。