「K-POP、最近どう？」扉イラスト

大きなものから小さなものまで、“最近のK-POP”の話題を振り返るマンスリー連載「K-POP、最近どう？」。6月はWayV、Kep1erの“悲願の1位”獲得や「Weverse Con」でのJ.Y. ParkとHYBEアーティストとのコラボステージなどが話題に。中でもBTSの最年長・JINの除隊は、国内外のメディアをにぎわせる大きなトピックでした。また先月に続き、カムバックのラッシュも継続中。本稿では、そんな5月末から6月末にかけてのK-POPの話題の中から5つをピックアップしご紹介します。 【ここから聴ける】BTS最年長を出迎える、RMのサックス演奏 文 / 岸野恵加 イラスト / hakowasa ■ 6年ぶりに舞台で氷食べるナヨン 人気グループのメンバーによるソロやユニット作品が目立った6月。TWICEのナヨンは2年ぶりの新作ミニアルバム「NA」をリリースし、ファッションにもサウンドにも平成ムードが漂うリード曲「ABCD」が話題を呼んでいます。音楽番組「MUSIC BANK」では生放送出演時に1位を獲得し、前作「POP!」の際に果たせなかった悲願を達成。6年前のTWICE「Dance The Night Away」 のカムバック活動時にも掲げた、音楽番組で1位が獲得できた場合の公約「氷を食べながら歌う」姿を再びアンコールステージで見せました。いとこのチ・ユンソ（EVNNE）が、退場前にナヨンのもとへ駆け寄り祝福する姿にもグッときます。 SEVENTEENのJEONGHANとWONWOOは、ユニットを組んでミニアルバム「THIS MAN」を発表。都市伝説にインスピレーションを受けた作品で、SEVENTEENとはひと味違うミステリアスなムードが新鮮に映りました。KEY（SHINee）の約6年ぶりとなる日本シングル「Tongue Tied」は、インターネット黎明期テイスト全開の特設サイトが話題になり、リサ（BLACKPINK）は、故郷タイでミュージックビデオを撮影した新曲「ROCKSTAR」を発表。ENHYPENのJAYは、日本のベテランロックバンドGLAYの30周年記念シングル「whodunit-GLAY × JAY（ENHYPEN）-」へ参加して、世代を超えた交流が繰り広げられました。 このほかこの1カ月間には、NewJeans、ATEEZ、Red Velvet、TREASURE、RIIZE、TWS、EVERGLOWらが続々とカムバックしています。ATEEZの新曲「WORK」のMV冒頭では、ミニアルバムのタイトル「GOLDEN HOUR : Part.1」にかけてか、なんと“黄金マンネ”ジョンホが地面に埋まった状態で登場。そのままフルートを吹くというぶっ飛んだ展開に驚きました。またメンバー8人の個人Instagramが開設されたこともファンを喜ばせています。 ■ 9人で最後の1位、ナムジャで初めての1位 音楽番組でも数々のドラマが生まれました。Kep1erは、マシロとイェソを除く7人が再契約し、活動を継続していくことを5月末に発表。Wanna OneやIZ*ONEなど、Mnetのオーディション番組から生まれたグループはこれまで活動期間が設けられるのが通例で、Kep1erも当初は2022年1月のデビューから2年半で解散とされていたため、前例のないグループ継続は大きな話題を呼びました。 9人体制最後の作品となる1stフルアルバム「Kep1going On」を6月3日にリリースしたKep1erは、「Up!」以来2年ぶりとなる音楽番組1位を「SHOW CHAMPION」で獲得。メンバーが全員で抱き合うアンコールステージには、思わずこちらもツーと涙を流してしまいました。 そして中華圏出身メンバーを中心に構成されるNCTの派生ユニット・WayVも、2019年の結成以降初となる悲願の音楽番組1位を獲得しました。韓国出身メンバーが所属していないグループが1位を獲るのは、2023年11月のNiziU以来2回目で、ボーイズグループとしては初です。これまで主にダークで耽美な世界観を見せてきたWayVですが、ミニアルバム「Give Me That」のタイトル曲はポップなダンスナンバー。新境地で快挙を成し遂げました。1位を獲った番組が、メンバーのシャオジュンがMCを務める「THE SHOW」だったということもさらなる感動を誘いました。 ■ JIN除隊でサックスを吹くRM メンバー全員が兵役の義務を果たすため、2022年12月より順に入隊したBTS。先陣を切って入隊した“長男”ことJINが、ついに6月12日に除隊しました。当日はBTSのメンバー全員が休暇を取るなどして駆けつけ、テナーサックスを手に現れたリーダーのRMは、メンバーが抱擁を交わす中でも演奏を続けるストイックな姿勢を見せてファンを和ませていました。 除隊後さっそく、JINはひさびさにWeverseで生配信を実施。また翌6月13日のBTSデビュー記念日には、デビュー11周年イベント「2024 FESTA」の一環として1000人のARMY（BTSファンの呼称）と触れ合う「JIN's Greetings」、通称“ハグ会”を開催しました。JINがファンのために発案して実施を決めたイベントということで、JINのARMY愛の強さがうかがえます。 またJUNG KOOKは、ファンに向けた感謝を歌ったファンソング「Never Let Go」をサプライズで6月7日に配信。さらにJIMINが7月19日に2ndソロアルバム「MUSE」を発売することも発表されました。入隊中もリリースが絶えることがないBTS。ファンに寂しい思いをさせないため、入隊前にさまざまな準備をしていたのでしょう。 ■ J.Y.ParkがHYBEのアイドルと盛大に… HYBEが主催する音楽フェス「WEVERSE CON FESTIVAL 2024」が6月15、16日に韓国・仁川にて開催されました。レーベルの枠や国境を超えてアーティストが集結。日本からはYOASOBI、imase、&TEAMが出演しました。 中でも話題を呼んだのは、トリビュートステージに登場したJ.Y. Parkです。言わずもがな、TWICEやStray Kidsが所属するJYPエンターテインメントの統括プロデューサーである彼ですが、ILLIT、BOYNEXTDOOR、ENHYPEN、TWSら、HYBE所属アーティストとの豪華なコラボステージを披露しました。さらにはHYBEの議長であるバン・シヒョク氏がステージにギター演奏で参加するというサプライズも。バン氏はJYPエンターテインメントから独立してHYBEの前身であるBig Hit Entertainmentを設立しており、J.Y. Parkとはいわば盟友です。 また6月2日には「K-WAVE CONCERT 人気歌謡」が同じく仁川で開催されました。MCはユンホ（ATEEZ）、HAERIN（NewJeans）、ハン・ユジン（ZEROBASEONE）が務め、3組のほかaespa、Stray Kids、TREASURE、XG、NEXZら豪華アーティストが出演。リリースしたばかりの新曲を披露するアーティストも多く、終始盛り上がりを見せました。 ■ Tiramisu Cake～♪ そのほか収まりきらなかったトピックを、こちらでまとめてご紹介。イタリア・ミラノとフランス・パリでは6月にファッションウィークが行われ、K-POPアーティストも多数参加しました。フェンディ（FENDI）のショーでは、Stray KidsのバンチャンとSnow Manの目黒蓮が固く握手。またプラダ（PRADA）のショー会場では、TWICEのサナが坂口健太郎、ドラマ「ソンジェ背負って走れ」で話題の俳優ピョン・ウソクと並んだ3ショットがキャッチされ、フォトジェニックな輝きを放っていました。 IVEは日本のバラエティ番組に積極的に出演。「チョコプランナー」では巧みな毒舌で笑いを起こし、「しゃべくり007」では日本の女子中学生たちを熱狂させ、「櫻井・有吉THE夜会」ではソーラン節に挑戦し、各所でバラエティスキルの高さを発揮しました。またこの夏お台場で行われるフジテレビの恒例イベント「お台場冒険王」では、tripleSがオフィシャルサポーターに抜擢。制作発表会へは日本人メンバー4人が「ちいかわ」のハチワレ、ちいかわとともに登場し、和気あいあいとトークを繰り広げました。 世界的スターのビリー・アイリッシュは来日した際、NewJeansも出演した6月21日放送の「ミュージックステーション」に急遽登場して話題を呼びましたが、その前には訪韓してプロモーション活動を展開。Spotify主催のイベントではBLACKPINKのジェニーとトークし、ZICOがMCを務める音楽トークショー番組「THE SEASONS : ZICOのアーティスト」にも出演しました。 TikTokで流行中のDa-iCE「I wonder」に乗せた「くる恋ダンス」には、K-POPアーティストも多数参加。また韓国のバンド・We Are The Nightによる「Tiramisu Cake」に合わせてゆるやかなダンスを踊るダンスチャレンジも、投稿するアーティストがじわじわと増えています。 ■ 2024年6月のひとりごと □ ライター 岸野 2000年前後の音楽をあれこれ掘り返して聴いていたタイミングで、当時の安室奈美恵とBoA、Tommy february6らを感じさせるナヨンさんのカムバ、沁みました。 □ 編集 獅々堀 友人に勧められ、メガ割でソケット一体型のペンライトバッテリーを購入しました。使い心地はいかに。 ■ 岸野恵加 ライター・編集者。コミックナタリー副編集長、音楽ナタリー副編集長を経て2023年にフリーランスとして独立。主に音楽やマンガ、アニメなどのエンタテインメント領域で執筆。2011年生まれ男児と2016年生まれ女児の母。