躍進モンテ、いざPOへ(上) 屈指の攻撃力で得点倍増、土居とディサロ加入し活性化
サッカーJ2・モンテディオ山形は10日の最終節で千葉を4―0で下し、年間4位でJ1昇格を懸けたプレーオフ(PO)進出を決めた。終盤にクラブ記録更新の9連勝と勢いを増し、POで初のホーム開催権を得る順位に浮上した。連係構築に苦しんだチームは補強した夏をターニングポイントに歯車がかみ合い、J2屈指の攻撃力で勝ち続けた。リーグ戦から変化を振り返り、3季連続のPOに向け突破の鍵を探る。 19節終了時で6勝4分け9敗の14位。目標に掲げた「優勝」にははるかに遠い前半戦の結果だった。要因はFWの藤本佳希と後藤優介など前線にけが人が続出したこと。第14節から6試合でPKの1点しか挙げられないなど、得点は19試合で16にとどまった。 クラブは前線の積極補強に動いた。今夏加わったのは3人で、攻撃陣は2人。1人は山形市出身で、J1鹿島で活躍しキャリアを積み日本代表経験もあるMF土居聖真。もう1人は22年シーズン後半に山形でゴールを重ねたFWディサロ燦シルバーノ。PO進出へ大きな推進力となった。
データが如実に物語る。それぞれ14試合の出場で、ディサロは8得点、土居は5得点2アシスト。後半戦19試合でチームは39点を挙げ、前半戦の2倍超をマークした。 土居の働きは得点だけにとどまらない。相手の隙を突くポジション取り、ボールを正確に足元に収める技術、これを基に繰り出す高精度のパスで周囲の選手を動かし、自身も生かされることで輝く選手だ。第31節群馬戦、土居にぴたりと合わせたクロスでヘディングゴールをアシストしたDF川井歩は「絶対に走り込んできてくれる。自信をもってパスを出せた」と話した。渡辺晋監督は背番号88について「周囲の目線を一段階引き上げた」と高く評価する。 土居がトップ下に入り連係がスムーズになり、中盤の連動性が高まったことも強力な武器となった。相手に警戒され厳しいマークに遭えば前後や左右の選手と入れ替わり、おとりとなり相手守備を手玉に取った。ボランチのMF高江麗央はより相手陣地深くでプレーする時間が増え、9連勝中に2得点5アシストと得点に絡む機会を増やした。
土居の加入によりチーム全体のレベルが引き上げられ、ディサロは決定力をもたらした。12月1日が初戦となるPOは、2人がリーグ戦以上に警戒されるのは間違いない。キーマンが封じられた場合に一層の流動性ある攻撃を展開できるかが突破の鍵になる。引き出しの中にある連係パターンを磨き上げ、勝負のピッチでしたたかに繰り出したい。 PO岡山戦は午後2時開始 Jリーグは12日、J1昇格プレーオフ準決勝の試合開始時間を発表した。モンテディオ山形は、天童市のNDソフトスタジアム山形で、12月1日午後2時から岡山と対戦する。