無謀か奇跡か。大阪女子マラ転倒途中棄権も“レジェンド”福士加代子は3月名古屋に東京五輪へ最後の勝負賭ける?!
名古屋?「福士もそのつもり」
福士は、レース後、ただちに所属先の京都へ移動。大会事務局を通じ「(転倒は)前の選手と接触して、そのまま転倒しました。なるべく脚を痛めないようにと思って頭でカバーして頭をぶつけてしまいました」とコメントした。 その後については「20キロくらいまでは集中力は切れなかったが、25キロ手前で意識がモアーッとしてきて、”やばいな”と思いました。また脚に乳酸がたまった感じがしてきて、屈伸などで流れが変わらないかと思いましたが、変わらなかった。ジョギング程度なら走ることはできましたが、35キロの給水で次のレースを考えて止めました」と棄権を選んだ。 誤算だったのは日本陸上競技連盟も同じだ。この大会では9月のMGC出場者を4、5人想定し、「緊張感のある戦い」を期待していたが、福士のリタイアもあり、クリアしたのは初の本格的なマラソンで2時間27分39秒で4位だった中野円花(28、ノーリツ)の1人だけ。辛うじて2分28分00秒の基準タイム範囲内。阿部友香里(29、しまむら)は2秒差で権利を逃した。 これには瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(62)も「ウーン」と何度もため息をつきながら「4、5人は出るかと思ったが、何でか最後にみんな失速して。テンションが低くなった。ショックです」と苦笑いだった。 逆に言えば、福士が、MGC出場権をかけたラストレースの名古屋で基準タイムを切れば東京五輪出場に望みはつながる。 問題は、この短い期間で回復できるのか、どうか。 気になる福士の負傷状態は大会事務局によると、右目横上、両ひざ、右肘、手のひらから出血があり、右目横は青く腫れているという。今後、病院で精密検査を受ける予定。永山監督は「応急処置をしてもらったところなので、これからのことは検査の結果を受けてからになる。転倒した際、なるべく脚を守ろうとして肩と頭を強く打ったようだ」と報告。 「状態を確認した上ですが、もちろんMGCを取りに行きたい。諦めているわけじゃない。ここまで、いい練習ができていた。後半に足を温存していました」と断言した。棄権については「チーム福士としての判断。きょうが練習だったと考え方を変えて」と気持ちを切り替えるのに懸命になっていた。 福士は東京五輪出場をあきらめない。ターゲットは3月10日の名古屋ウィメンズとなる。「福士もそのつもり。あと40日ありますから」と、永山監督。リオ五輪の日本代表を狙った際にも、大阪で好記録を出したが、なかなか内定が出なかったため、名古屋の連チャン出場プランを考えていたほど。レジェンド福士ならば、奇跡を起こし、東京五輪出場への可能性をつなげるのかもしれない。