【遺族が逆転勝訴】ロール網戸の『操作ひも』絡まり6歳女児死亡 製造元「YKK AP」などに約5800万円の賠償命令 大阪高裁
窓のロール網戸を上げ下げするひもが首に絡まり、6歳女児が死亡した痛ましい事故をめぐり、遺族が逆転勝訴しました。 大阪高裁は1審判決を覆し、製造元の「YKK AP」とリフォームを実施した業者に、計約5800万円の賠償を命じました。
操作ひも(ボールチェーン形状)が首に絡まり6歳女児死亡
2019年、兵庫県内に住む家族は住宅をリフォームした際に「YKK AP」製のロール網戸を設置。網戸は操作ひも(ボールチェーンの形状)で上げ下げする仕様になっていました。 同年11月、留守番をしていた当時6歳の娘が、首に操作ひもが絡まって死亡する事故が起きます。事故を受け、消費者庁が「ロール式網戸の操作用のひもに注意!」と注意喚起を行う事態にもなりました。 その後、両親らは、製品の欠陥やリフォーム業者側の注意義務違反で事故が起きたなどとして、YKK APとリフォーム業者を相手に約8000万円の賠償を求めて提訴。 2022年11月の判決で大阪地裁は、YKK APの損害賠償責任を認定せず、夫婦側が控訴していました。
争点となったのは「クリップ」と「注意喚起タグ」
そして3月14日の判決で大阪高裁(黒野功久裁判長)は一転、YKK APの賠償責任を認めたのです。どこが判決のポイントだったのでしょうか。 判決によりますと、YKK APが出荷した際、ロール網戸本体に加え、▼操作ひもをまとめるためのクリップと、▼注意喚起のタグが付属していましたが、それらは操作ひも本体とは別になって、ビニール製の小袋に入っていました。 また「YKK AP」は施工説明書の中で、操作ひもにクリップと注意喚起タグを取りつける旨を指示していましたが、リフォーム業者は、操作ひもの危険性やクリップの使用方法を両親に説明しませんでした。 大阪高裁は判決で、リフォーム業者が装着義務や、取り扱い方法などを説明する義務を怠ったと断定しました。
大阪高裁「クリップやタグを装着した状態で出荷しなかったことに、合理的な理由があったとはいえない」
さらにYKK AP側の対応について大阪高裁は、「クリップやタグを装着した状態で出荷しなかったことに、合理的な理由があったとはいえない。本件事故後に、クリップやタグを取りつけた状態で出荷するようになったことからすれば、事故までにそうした対応をすることも可能だった」と指摘。 YKK APの賠償責任も認定し、リフォーム業者と連帯して、約5800万円を賠償するよう命じる判決を言い渡しました。