お刺身の「つま」って栄養あるの?何のためにあるの? 栄養士ライターが解説
お刺身の下に敷かれていることが多い大根の「つま」は、魚の水分や生臭さを吸収し、お刺身の鮮度を保つ目的があります。また、アワビやタコなど筋肉の緻密な魚介の付け合わせに用いると、大根に含まれる複数の酵素の働きで程よいやわらかさに。大根の辛み成分であるアリルイソチオシアネートには消化増進の働きや抗菌作用もあります。
食べて問題ないが魚の生臭さが移っている場合は避けて
以上のことから「つま」にも栄養があり、基本的には食べて問題ありません。こだわりのある飲食店では、食べ合わせを考えた「つま」に加え、凝った「けん(野菜を細く切って剣に見立てた形に盛り付けたもの)」が添えられていることも。お刺身と一緒にいただくと新たな味の発見があるかも知れません。自宅で食べるときは、穂じそは天ぷらに、紅たで、小菊、大根のつまはお味噌汁の具や酢の物などにリメイクすれば食品ロスを防げます。ただし、魚の生臭さやドリップ(赤い液体)が移った「つま」は、衛生面から食べるのを避けた方がよいでしょう。 ※参考文献:『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版』、杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、真木文絵著『ココロとカラダに効く ハーブ便利帳』NHK出版,2017
野村ゆき