果樹折れて牛舎半焼も 台風10号 九州で農業被害相次ぐ
鹿児島でもハウス損壊、落果・倒伏
台風10号の影響で、鹿児島県内では強風による畜舎やハウスの損壊、落果・倒伏など農業被害が各地で発生している。停電で給水や予冷庫が使用できないといった被害も出ている。県内JAやJA県経済連では現在、調査を進めており、近く被害状況をまとめる。 指宿市では、土砂崩れで牛舎内に土砂が流入。肥育牛1頭が死んだ。牛舎の損壊は県内各地で発生。屋根や壁の破損、牛舎への浸水が多く見られた。停電の影響で給水や換気ができない農場も各地で発生。大口肥育センター(伊佐市)では散水車で給水対応をした。 養豚では、豚舎の屋根や壁、防鳥ネットの破損が確認された。停電で浄化槽の稼働や子豚舎の換気ができない農場もあった。 秋冬野菜のニンジンやカボチャの種まき、スナップエンドウなど苗の植え付けが始まったばかり。一部地域では豪雨による流出でまき直しが必要となっており、新芽の破損も懸念される。県経済連の野菜・花き種苗センター(枕崎市)ではガラスハウスが破損。JA集出荷施設の被害も報告されている。 果樹は、ハウスビニールを除去していたため、大きな被害は見られなかった。ただハウス内に雨水が流入し、果実の裂果が懸念されるという。露地品目は、特に強風によるタンカンの枝折れやポンカンの落果被害が大きい。枝折れや傷果による集荷量の減少や等級低下も懸念される。 花きは、指宿市や枕崎市でハウス本体に被害があった。ハウスビニールの破損は各地で発生。一方、ビニールを巻き上げていた農家ではハウス内で花きの倒伏が確認された。 JAさつま日置などの選果施設では30日現在、停電の影響で予冷庫が使えず、選果ができない被害も発生している。 (西山雄二)
日本農業新聞