「見てろクソガキ!」堀口恭司、挑発に熱くなるも冷静な試合運びで完全決着!神龍誠に「経験値の差を感じた」と言わしめた強さ
日本格闘技界の年間最終戦を、堀口恭司が見事に締め括った。 RIZIN恒例の大晦日大会、そのメインイベントだ。フライ級の初代王座決定戦で堀口恭司と神龍誠が対戦した。 【RIZIN PHOTO】堀口恭司が神龍誠との死闘を制し初代RIZINフライ級王者に!試合後には公開プロポーズも成功! 堀口は言わずと知れた世界トップレベルの日本人。UFCでタイトルマッチを経験し、RIZINとベラトールでバンタム級タイトルを獲得。昨年から適正体重のフライ級に戻した。 対する神龍は23歳の新鋭。所英男を下すなど10連勝を記録している。前回、ベラトール王座決定戦で闘った両者だが、堀口の指が目に入るアクシデントで(堀口は後に否定)神龍が続行不可能となり、ノーコンテストに。今回はかけるベルトを変えての決着戦となった。 神龍が「殺してやる」と挑発すれば堀口も珍しく「誰に言ってんだこの野郎」、「見てろクソガキ!」と熱くなった因縁の一戦。だが実力者同士だけに単なる“ケンカ”ではなく見応えのある展開となった。 1ラウンド、タックルを仕掛ける神龍に堀口がギロチンチョーク。神龍はトップをキープして攻めたいが、堀口が許さない。2ラウンドには堀口がハイキックからパンチと打撃で優位に立つと、リアネイキッドチョークで仕留めた。これ以上ない完全決着だ。 さらに堀口は試合後、元RIZINガールの川村那月にプロポーズ。インタビュースペースにも2人で表れ、取材陣の質問に答えた。試合後コメントというより、さながら結婚会見だ。 実は榊原信行CEOは、前日に堀口から結婚の報告を受けていたという。そこでファンに伝えるパフォーマンスとして、リング上での公開プロポーズを提案したそうだ。「(堀口が)やらなかったら背中を押そうと思ってたんですが」と笑う。 誰よりもハッピーな年越しを迎えた堀口。だがそれも試合に勝ったからこそだ。世代交代を目論む神龍をきっちり仕留める強さには、あらためて目を見張らされた。
ギロチンが極まらず体力を消耗してしまうパターンもあるのだが、堀口はそれも見越して力を使いすぎないようにしていたという。技のかかりが浅いと見るや相手の攻め手を防ぐことに集中、そこから反撃を狙ったのだ。 多種多様な技術を使うMMAでは、一つひとつの技だけでなくこうした試合運びも重要になる。神龍は「敗因は僕が焦ったこと」と振り返った。 2ラウンド、打撃でフラついた神龍。そこで「やり返さなきゃ」と気持ちが乱れたことで動きも乱れた。 「(相手有利な)展開を許してしまったら詰められる。経験値の差を感じました」 2022年の大晦日、RIZINとベラトールの対抗戦が行なわれた際に、堀口は日本と世界の差を指摘している。今回もそのことについて聞かれると「世界との差は広がってると思います」。 スパーリングパートナー、立ち技・寝技各分野のコーチ、フルサイズのリングとケージなど、日本と海外、特にアメリカの練習環境の違いはよく言われることだ。堀口はUFC参戦時から現在までアメリカに住み、名門・ATT(アメリカン・トップチーム)を拠点としている。 試合後には神龍にも、ATTでの練習を勧めた。だが神龍は「(ATTには)行かないです。絶対にやり返すんで、それまでは行かない」。倒すべき敵と一緒に練習はできないというわけだ。 とはいえアメリカの他のジムで練習するなり、何かしら堀口との差を縮める手段は考えなければいけないだろう。堀口恭司の強さについて考える時、避けて通れないのは“世界”という物差し。果たして日本から打倒・堀口恭司を成し遂げる選手は出てくるのか。 取材・文●橋本宗洋
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