【速報】宝塚歌劇団「宙組」9か月ぶり公演再開 冒頭で謝罪 トップ女優「長らく心配おかけした」挨拶 会場からは盛大な拍手・号泣するファンの姿も
宝塚歌劇団の宙組に所属する当時25歳の女性が自宅マンションの敷地内で死亡しているのが見つかってから中止されていた宙組の公演が、20日午後1時から、約9か月ぶりに再開されました。 兵庫県宝塚市の「宝塚大劇場」で午後1時から始まったのは、芹香斗亜さんと春乃さくらさんが主演の特別公演『ル・グラン・エスカリエ』。フランス・パリの紳士・淑女や、スペイン・グラナダの闘牛場に立つ勇敢なマタドール、アメリカ・ニューヨークの摩天楼を夢見るダウンタウンの青年たちなどを描いたステージです。 来場者によりますと、冒頭に宝塚歌劇団の村上浩爾理事長が壇上に立ち「ご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした」と一連の問題を謝罪して公演が始まったということです。カーテンコールでは会場から盛大な拍手が沸き起こり、芹香さんは「長らくお心配をおかけしました。ありがとうございました」と短く挨拶したということです。中には号泣するファンもいたといい、公演は約1時間半で終了しました。 長年の宝塚ファンという女性は「これまで聞いたことのないようなすごい拍手とスタンディングオベーションだった」と振り返りました。また、来場者たちは「素晴らしい公演だった」「感動しました」などと話し、公演の再開を喜んでいました。 「宙組」では、女性が死亡して「上級生のパワハラ」に関する調査が始まって以降、数人の劇団員が退団し、現在は約60人となっています。本来なら芝居とショーの2本立てのところ、今回の公演はショーのみの開催となります。宝塚歌劇団は「十分な準備期間を確保し公演の万全を期すため」としています。
■再調査で一転“上級生らのパワハラ”認める 再発防止策まとめる
宝塚歌劇団をめぐっては2023年9月、宙組に所属する25歳の女性が自宅マンションの敷地内で死亡しているのが見つかりました。女性は、下級生の“まとめ役”を務める中で長時間にわたる残業をしていた上、上級生からヘアアイロンを押し当てられてやけどを負ったり、「下級生の失敗は、すべてあんたのせいや」「ウソつき野郎」などと言われたりしたことが、遺族の代理人弁護士を通じて明かされていました。 劇団側が去年11月に公表した調査結果では、死亡した女性に「強い心理的負荷がかかった可能性が高い」とする一方、「いじめやパワハラ」は確認できなかったと結論づけましたが、遺族側は「パワハラが否定されたままで、合意解決することはありえない」と批判。その後、劇団側は、ホームページで公表していた調査報告書の掲載を取りやめた上で遺族側と劇団側で複数回にわたって協議が行われていました。 2024年3月、歌劇団側と遺族側の協議が合意に達し、阪急阪神ホールディングスの角和夫会長、宝塚歌劇団の村上浩爾理事長らが遺族に直接謝罪し、合意書を締結したことを明らかにしました。遺族側が主張していた15項目のパワハラ行為については、遺族側との話し合いで14項目に整理したうえで全てについてパワハラを認め、再発防止策を公表しています。 一連の問題を受けて、宝塚歌劇団は全ての公演を一時中止していましたが、過密スケジュールを見直し、予定された公演回数を減らすなどした上で、12月1日から順次再開していました。一方、宙組については公演の休止が続いていました。劇団と遺族側との協議が合意したことで、再開に向けた準備が進められていました。
■「不安で一睡もできなかった、卵を投げつけられたら…」ファン心配の声も
宝塚大劇場では、公演が始まる約3時間前から、午前10時のゲート開場前からファンの姿が見られました。 「宙組」ファンだという50代の女性は、「劇団員が舞台に立つまでこんなに長引いたのは心が痛んで、もっと早く舞台に立ってほしかった。再開されるのが嬉しくて、今日の公演が楽しみ」と話しました。 一方で、芹香斗亜さんのファンだという女性は、「不安で昨夜は眠れなかった。卵を投げつけるお客さんがいたらどうしようとか。無事に幕が開くことを祈っている」と心配する声も聞かれました。