back number、初の対バン・ツアー・ファイナル公演でクリープハイプと共演 お互いの楽曲カヴァーも披露
2024年8月3日から約4ヵ月半にわたり15会場32公演、各公演にメンバーからのリクエストに応えてくれた豪華16組のゲストアーティストを招いての対バン形式で全公演即日ソールドアウト、32万人を動員したback numberにとって初の対バン・ツアー〈anti sleeps tour 2024〉が、12月21日・22日にクリープハイプとの対バンで、マリンメッセ福岡A館にてファイナルを迎えました。 2024年の年間Billboard JAPANトップ・アーティスト・チャート“Artist 100”、DAM / JOY SOUNDの両カラオケ年間アーティストランキングなどで2位を獲得するなど年間通して圧倒的な存在感を示したback number。そんな1年間を締めくくるにふさわしい素晴らしいツアー・ファイナルとなりました。 なお、ゲストのクリープハイプは、現メンバー15周年のアニバーサリー・イヤーであり、12月4日に約3年ぶりとなるアルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』をリリース、2025年2月からはホールとライヴハウスで15公演、そして東京、福岡、愛知、東京のアリーナ会場で8公演が行われる、クリープハイプ史上最大規模のライヴ・ツアーを行います。 [ライヴ・レポート] back numberのアリーナ対バンツアー〈back number “anti sleeps tour 2024”〉のツアーファイナル公演が12月22日、福岡・マリンメッセ福岡A館にて開催された。 これまで全国のアリーナ / ドーム会場を回る大規模なワンマンツアーを開催してきたback numberにとっても初の試みとなる、対バン形式でのアリーナツアー〈anti sleeps tour 2024〉。8月3日:愛媛県武道館を皮切りに、さいたまスーパーアリーナ / 大阪城ホールなど全国15会場・32公演、計32万人を動員して行われた同ツアーには、LACCO TOWER / 秀吉 / Vaundy / ストレイテナー / SHISHAMO / ハンブレッダーズ / ゴールデンボンバー / 優里 / ねぐせ。 / My Hair is Bad / 清水依与吏 / マカロニえんぴつ / TOMOO / Perfume / BE:FIRST / Saucy Dog / クリープハイプといった豪華アーティストがゲストアクトとして出演。トータル約5ヶ月間にわたって、全国各地で奇跡の共演を繰り広げてきた。 そのツアーファイナルを飾るマリンメッセ福岡2Days公演(12月21日・22日)には、ゲストとしてクリープハイプが登場。これまでにも同世代のバンドマンとして、お互いへのリスペクトと憧れと、だからこそ拭い難く付きまとうライバル意識を明かしていた、クリープハイプ・尾崎世界観(Vocal & Guitar)とback number・清水依与吏(Vocal & Guitar)。そんな両バンドの関係性を熟知しているオーディエンスは、「ナイトオンザプラネット」「キケンナアソビ」といった妖艶な楽曲も「火まつり」「生レバ」のようなアグレッシブなナンバーも、あたかもクリープハイプのワンマンのような熱気と歓喜で受け止めていく。 「呼んでもらえて、ここに立たせてもらえて、とても嬉しく思っています」という尾崎のMCに続けて、さらに「しょうもな」「イト」「栞」でマリンメッセ福岡の大空間をダイナミックに揺さぶっていくクリープハイプ。「『清水依与吏になりたい』と――悔しいな、いいなと思っていた時もあったけど、自分は自分がいい、尾崎世界観がいいなって、最近は思っています。これからも、あの人のライバルとして、尾崎世界観をやっていこうと思っています」……そんな言葉に続けて尾崎が歌い上げたのは、back number「水平線」のカバーだった。清水が憧れた唯一無二のハイトーンボイスが、時代を席巻したback numberのバラードと響き合う。対バンツアーのファイナルならではの名場面だった。珠玉のアクトを「天の声」「二十九、三十」で締め括り、深々と一礼する4人に、惜しみない拍手喝采が巻き起こっていった。 そしてback number。サポートメンバーとともに、「高嶺の花子さん」イントロのストリングスを開演SEとして登場した清水依与吏 / 小島和也(Bass & Chorus) / 栗原寿(Drums)は、すでに先ほどのクリープハイプの熱演に感極まっているように見える。「よろしくお願いします!」と声の限りに叫ぶ清水の姿は、ツアーファイナルの多幸感よりも、自分の存在証明を今この場にゼロから刻み付けようとするかのような切迫感に満ちていた。冒頭から「高嶺の花子さん」を披露して客席を熱く揺さぶり、「大不正解」のエクストリームなバンドアンサンブルで満場のクラップを呼び起こしたところで、「アイラブユー」のメロディアスな楽曲世界へ……とback numberの多彩な音楽世界を一気に横断するような展開が、場内の期待感をさらに激しく煽り立てていく。 「俺はね、尾崎になりたかったのよ。ライブに行くたびに、ずっと思ってたんだよね。絶望的に、俺にないものを持っていて」先ほどの尾崎のMCに応えるように、清水が一言一言噛みしめるように語る。「尾崎世界観っていう人が同じタイミングで生まれてなかったら、間違いなく今の清水依与吏にはなってないだろうし、なろうとも思わなかっただろうし。だから、ずっと基準で、ずっと目印で、ずっと星で」……そんな清水の言葉に続けて響く「光の街」が、満場のオーディエンスを目映く包み込んでいった。「HAPPY BIRTHDAY」から「楽園の地図」へつないで一面のクラップの輪を描き出したところで、清水が弾き語りで歌い上げる即興の歌から流れ込んだのは「水平線」。情熱を露わにほとばしらせるような清水の佇まいが、「水平線」に未知のエネルギーを吹き込んでいた。 栗原の「いけるか福岡!」のコールとともに、「最深部」「ロンリネス」からライブは後半戦へ。サビのメロディを観客に委ねる清水に応えて、高らかな大合唱が広がった「花束」。己のすべてを振り絞るような鬼気迫る歌を聴かせた「ハッピーエンド」。「新しい恋人達に」の直前、「俺はあなたに出会って、俺になった」と語りかける清水の言葉が、広大なアリーナを濃密な一体感で包んでいく。 終盤へ向けてライブは「怪盗」「スーパースターになったら」でさらに熱く高まっていく。そして、サポートメンバーが退場し、メンバー3人だけで披露した最後の曲は、back numberが今回のツアーを通して演奏してきた楽曲であり、クリープハイプのトリビュートアルバム『もしも生まれ変わったならそっとこんな声になって』でもカバーしていたクリープハイプの楽曲「バンド」だった。清水自身も終演後のMCで「自分たちの曲以上に『俺の歌だな』と思った」と語っていた楽曲が、アリーナ対バンツアーの終幕を色鮮やかに飾っていた。 演奏を終えた後、クリープハイプのメンバーを呼び込み、7人で舞台に立ったback number&クリープハイプ。「ありがとうございました。心に残りました。『バンド』の歌詞の日付を《2024年12月22日》に変えます!更新していきましょう!」と尾崎が言うと「いやいや!本人ブレちゃだめだと思う(笑)」と清水が突っ込んだり、ライブ本編とは一転して仲睦まじい表情を見せていたのが印象的だった。 「全然違う道を通ったけれども、こうやって久々に会って、お互いの想いをぶつけ合えば、こういう気持ちになれるんだなと思って。それはお互い、一生懸命やってるからだなって思いました。これからまた、違う道を歩むとは思いますけど、あなたのことを不幸にしようと思って書いてる曲は1曲もないので。これからもクリープハイプとback numberをよろしくお願いします!」……そんな清水の言葉に、そして7人で手を取り合って一礼する姿に、場内から割れんばかりの拍手喝采が降り注いでいった。 文: 高橋智樹 撮影: 田中聖太郎