松尾潔「兄弟が組んだときの化学反応を誰よりも知っている」Oasis再結成
茶番みたいなことも何回もやっていて、僕は当時「Oasis命」という距離感では曲を聴いていなかったので、「なんかまたやってんな」「何か話題作りじゃないかな」みたいに感じていました。変な言い方ですが「兄弟喧嘩と言えばOasis」という評判は世界中に広まっています。 今回の再結成に関しても、まずノエルとリアムがそれぞれのSNSで「27.08.24」「8am」という日時が入った同じアートワークをポンッと出して、それが結局、来年夏の再結成発表のタイミングを示していて、それからようやく公式にツアーを行うことが発表されたんですね。 このことから私達は何を学び取れるかというと「(再結成なんて)もう絶対あり得ない、とみんなが思い込んでいることが、いつか好転することもある」と言うことだと思いました。 ちょっと真面目な話をすると、彼らはいつも兄弟の確執というプライベートの感情をぶちまけてきただけのように思われていますが、社会情勢に対しての発言もたくさん残していて、その時々の政権についても忌憚なく意見を表明しています。 その彼らが今、地球を取り巻く状況に対して、無関心であるはずではなくて、本人たちがこの雪解けを見せることで、ロックセレブリティにしかできないことをこれから始めようとしているのかなという気がします。つまり「争いを止めよう」という意思表明ですね。 ■自分たちが組んだ時の化学反応を誰よりも知っている ジョン・レノンと比べられることも多い兄のノエルは、ジョン・レノンのように「戦争をやめよう」とか「平和になろう」と声高に言うわけではないけれど、「音楽を一緒に奏でる」という違う形を示すことで、普段は照れて言えないようなことも一緒に言えるという「善行」に導く役割を果たしている気がします。 兄弟仲が悪かったという件も、彼らが仲直りするのを見るのは悪い気はしないと思うんですよ。その姿を見ながら、みんな我が身を考えてしまうんじゃないでしょうか。もちろん、今回の再結成の前に不機嫌をこじらせた時期があってこその和解ということになるんでしょうけれども。