観月ありさ、令和でも“マドンナ”の象徴に 『オクラ』で発揮する“科捜研の女”の存在感
観月ありさの役者道を振り返る 『ナースのお仕事』から『祈りのカルテ』医師役まで
さて、ここで観月に話を戻したい。反町と同世代の彼女もまた、平成前期にスターとなり、今日まで走り続けてきた人物だ。大人気シリーズ『ナースのお仕事』(フジテレビ系)をはじめ、数々の作品で働く女性を快活に演じ、まさにその時代を象徴する存在となった。しかも観月は、『放課後』(1992年/フジテレビ系)で初主演を務めてから『奪い愛、高校教師』(2021年/テレビ朝日系)まで、“30年連続で連続ドラマの主演を務める”というとんでもない偉業を成し遂げている。昭和から平成、そして令和まで、彼女は第一線を走り続けてきた俳優なのだ。 千寿の“元妻”として、“科捜研の女”として、観月と反町が今後どのような掛け合いを展開していくのかも楽しみだが、やはり一番は、杉野をはじめとする次代を担う若手たちとの対比をどう生み出していくのかだ。千寿と利己の凸凹ぶりを、反町と杉野は演技の質感の違いによって表現している。 ときにやり取りがズレているように感じるのは、脚本上そうなっているからだけでなく、ふたりの意識的な演技の差異によるものだと思う。観月が演じる愁と利己の初対面のシーンでも、この質感の違いが非常によく表れていた。観月は意識的に陽気に、杉野はこれまでどおり冷静に、それぞれのキャラクターを表現している。『オクラ』はこの差異を楽しむドラマなのである。
折田侑駿