あの日、中村俊輔がぽつりと言った。「やっぱりいいよね、三ツ沢」。大好きなスタジアムで引退試合「わたしにとって特別な場所です」
Jリーグの初出場も、初ゴールも
その日の試合は三ツ沢での開催だった。 まだ横浜F・マリノスに在籍していた頃の中村俊輔が、キックオフ前にふらっとプレスルームに姿を見せ、馴染みの記者と雑談。コンディション不良か何かでメンバー外だった。 【PHOTO】「伝説のFK弾」も!中村俊輔のキャリアを厳選フォトで振り返る 1997~2022 ほどなくして俊輔は、お客さんで埋まるスタンドを見やり、ぽつりと言う。「やっぱりいいよね、三ツ沢。もっとここでやれればいいのにね」。 決して大きな“ハコ”ではない。だが、観客席とピッチの距離が近く、ファン・サポーターの反応がダイレクトで伝わってくる。臨場感は格別だ。 思い入れのあるスタジアムだ。自身の引退マッチ『SHUNSUKE NAKAMURA FAREWELL MATCH』が決まった際も、俊輔はこんなふうに言っている。 「三ツ沢はわたしにとって特別な場所です。小学生の時に初めて日本リーグを観戦し、木村和司さん、ラモス瑠偉さんにあこがれを覚えた場所。高校生の時にみんなで力を合わせて、全国高校サッカー選手権の出場を掴み取った場所。そして、1997年4月、Jリーグに初出場した場所。Jリーグ初ゴールとなったフリーキックを決めたのもこの場所でした」 12月17日、大好きな三ツ沢でラストダンスを飾る。錚々たるメンバーが集まったメモリアルマッチは、14時にキックオフ予定だ。 取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)