超富裕層の租税回避を阻止しよう…「グローバル富裕税」国際世論が拡散
「資産規模や資産収益に対し相対的に少ない税金が課されれば、税収不足現象と富の不平等の広がりは避けられない。我々が富裕税を考えなければならないのもそのためだ」(アレクサンダー・クレム国際通貨基金租税政策チーム長) 先月22日(現地時間)、米国ワシントンD.C.にある国際通貨基金(IMF)本部ビルのある講演室では、グローバル富裕税の導入を巡り熱い討論が繰り広げられた。IMF年次総会の公式プログラムとして設けられた「超富裕層(the super-rich)税金賦課に一歩近づく」というタイトルの政策討論会でだ。グローバル富裕税が、主流の国際社会の議論の場に入ったことを示す象徴的場面だ。 討論会の2日後に発表された「主要20カ国・地域(G20)財務長官会議」の共同声明にもグローバル富裕税が含まれた。声明は「(各国の)租税の主権を尊重しつつ、超高額資産家に対する効果的な課税保障を議論する」と明らかにした。このため、今月中にブラジルのリオデジャネイロで開かれるG20サミットの公式議題としてグローバル富裕税が上がることになった。 グローバル富裕税の議論は、この40年余りの間に長期・固着化した不平等が新型コロナウイルス感染症の大流行期をきっかけにさらに拡大したことで、速度がついた。特に、「一国の努力だけでは対応が難しい」という共感が広がったことも、これが国際社会の議題に上がった背景だ。超高額資産家らは税率の低い国に移民したり、資産を移転するケースが少なくない。 今年に入って、G20サミットの議長国を務めるブラジルがグローバル富裕税の議論をリードしている。ドイツ、スペイン、南アフリカ共和国などが早くから支持の意思を明らかにしたのに続き、今やG20サミットの議題にまで上がることになった。 ブラジル政府の依頼でガブリエル・ズックマン教授が作成し6月に公開された報告書は、富の不平等水準をありのままに示している。報告書は「この40年間、上位0.0001%の超高額資産家の年平均資産増加率は7.1%で、一般人の所得(1.3%)および資産(3.2%)増加率を大きく上回った」とし「(さらに)現在、超高額資産家の実効税率は0.3%にとどまっている」と明らかにした。資産の格差は継続的に広がっているが、高額資産家が納める税金はきわめて低いという意味だ。報告書は「全世界の超高額資産家約3千人を対象に2%の税率で保有税を賦課すれば、年間2000億~2500億ドルの税収を確保できる」として「このように確保した財源を不平等解消と気候変動、高齢化対応に使おう」と提案した。 もちろん、グローバル富裕税の早期導入を期待することは難しい。資産価値評価から課税方式、適正税率など、解決しなければならない難題が少なくないためだ。ブラジル財務省のデボラ・フレイリー財政政策次官補はこの日の討論会で「国家間の資産税に関する実効税率の測定と比較方法論を開発しなければならない」とし「同時に富裕税をすでに導入した国の効果を分析しながら、国際社会と疎通し続ける計画」だと述べた。 アン・テホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )