園長、校長ら連携で初研修 三重・大台町 学校になじめない「小1問題」対策
小学新1年生が学校生活になじめない「小1プロブレム(問題)」に陥ることがないよう、三重県多気郡大台町は24日午後3時から佐原の町役場で、町立保育園とこども園の園長、小学校長らを対象にした初の「保小連携・接続に関わる研修会」を開いた。講師の専門家は「子供たちが園でどういう積み重ねをしてきたか、これから(小学校で)していくのかを互いに知っておくことで円滑な接続ができる」と呼び掛けた。 じっと座って授業を聞けない、教員の指示に従って集団行動を取れない──などの小1プロブレムは、自由に過ごすことが多い幼稚園や保育園と、時間割に沿った行動が求められる小学校との違いや、家庭環境の変化などが原因とされる。対策として文部科学省は2022(令和4)年度から、5歳児から小1の2年間を「架け橋期」と位置付け、幼保小が連携するカリキュラムの作成を促している。大台町では本年度初めて全1回の研修を計画し、対象者を2班に分けて実施することにした。 この日は1班の研修に続き、三重大学教育学部の富田昌平教授(50)を招いて開かれた。14人を前に富田さんは、保育園と小学校について「園などでの『遊び』が主な活動の幼児期の生活と、集団生活の中で『学習』が主となる低学年教育」は全く異なると指摘した。 保小の違いを乗り越えるため「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を紹介。▶健康な心と体▶自立心▶協同性▶道徳性・規範意識の芽生え▶社会生活との関わり▶思考力の芽生え▶自然との関わり・生命の尊重▶数量・図形、文字などへの関心・感覚▶言葉による伝え合い▶豊かな感性と表現──を挙げた。 その上で、子供にとって無理のないスムーズな接続を図るため「幼児期の教育と小学校教育とを教育課程(カリキュラム)でつないでほしい」と述べた。富田さんは「小学校に入る園児や保護者には不安があると思う。『給食を全部食べられるかな』『45分座っていられるかな』などと。そこで例えば、園で小学校の先生の話をしたりするだけで、(子供は先生が)小学校とつながっていると分かり小学校は心配なところじゃないんだなと思う。ぜひきょうの交流のことを発信してほしい」と結んだ。