ロイヤルエンフィールド・スーパーメテオ650をサイドカーカスタム! 日本人ビルダーが生み出した「CHALLENGER by Cherry's Company」
ロイヤルエンフィールドの新しい世界観をカスタムで
1901年の創業以来、「Pure Motorcycling(ピュア・モーターサイクリング)」と呼ばれるアプローチの下、一貫したブランドイメージでオートバイを作り続けている最も古いモーターサイクルブランドであるロイヤルエンフィールド。 【写真はこちら】「CHALLENGER by Cherry's Company」の全体・各部・走行シーン ルーツはイギリスであるが、1955年にインド・マドラスに製造工場が設立されたことをきっかけに、インドの中型二輪車セグメントの成長を先導してきたブランドだ。 現在は、350ccクラスの『HUNTER 350』『CLASSIC 350』『METEOR 350』『BULLET 350』、650ccクラスの『CONTINENTAL GT650』『INT650』『SUPER METEOR 650』、そしてアドベンチャーモデルである『HIMALAYAN』『SCRAM 411』をラインアップする。 それらの豊富なラインアップに対し、地元、地域、国際レベルでの豊富なイベントをすることでファンを育んでいる。なかでも、毎年インドのゴアで開催され、数千人ものロイヤルエンフィールドファンが集まる『ライダーマニア』や、最も過酷な地形と最高峰の峠を越える巡礼の旅、『ヒマラヤンオデッセイ』などは有名なイベント。そして、カスタムに対しても積極的なアプローチをしている。 いまやカスタムシーンはライフスタイルカルチャーを巻き込んだトレンドであり、ロイヤルエンフィールドはNEWモデルの発表に合わせ世界中のビルダーと一緒に、カスタムで新たな世界観を表現している。 そして、2023年12月、世界的にも影響力のあるカスタムイベントである『YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW 2023』にて、世界初公開したのが、ここで紹介している『SUPER METEOR 650』ベースのカスタムバイクである『Challenger』だ。 製作したのは、ハリウッド映画に登場する車両なども手掛けている有名カスタムショップ『Cherry's Company』の代表、黒須嘉一郎氏。オーセンティッククルーザーである『SUPER METEOR 650』を、まさかのクラシカルなサイドカースタイルへとカスタム。ショーでは来場者はもちろん、他のビルダーも驚きの声を上げる完成度の高さだった。 「ずっとサイドカーを造ってみたかったけどチャンスがなかったんだよ。でも今回、ロイヤルエンフィールドから『SUPER METEOR 650』をベースにしたカスタムバイク製作の依頼を頂いた。クルーザーというコンセプトをキープしたいという決まり以外はやりたいことを自由にやっていいというオーダーだったので、サイドカーが造れると思ったんだよね。サイドカーも立派なクルーザーだから。車両製作のスタートは、まず車高を決め、各パーツのバランスを考えた。外装を外してフレームとエンジンだけの状態にして、それをジャッキで上げたり下げたりしながら、そのバランスを考えていった。スイングアームが水平になるくらいまでエンジンとフレームを下げていったとき、スタンダードフレームの美しいラインに気がついた。そこでスタンダードフレームのラインを活かしてボディラインを再構築していこうと決めた。それに気がつくまではフレームはゼロから造ろうと思っていたんだよ(黒須氏)」 一部スタンダードフレームを使用しながら『Challenger』のメインフレームは黒須氏によってワンオフで製作された。60本スポークのフロント21インチホイールと、同じく60本スポークのリア18ホイールを採用することで、リアからフロントに掛けて美しいボディラインが伸び上がるクルーザーシルエットを造り上げた。SUPER METEOR 650の美しいループフレームのラインを活かしながら、オリジナルでループフレームを製作している。 デザインのコンセプトは、機能をデザインすること。例えばアールズフォーク。今回のプロジェクト用に黒須氏が新しくゼロから設計してオリジナルで製作。サイドカーはバイクと比べてトレールを短くする必要があるので、そこでフロントアクスルをエキセントリックアジャスターにして、サイドカーの有無にあわせてトレール量を簡単に変更できるようにした。そのエキセントリックアジャスター部分にデザイン性を持たせ、機能をデザインしているのだ。 完成度の高いサイドカーもフルオリジナル。フレームはもちろんサイドカーの車体も、設計および製作も黒須氏自身の手によるものだ。フレームはスチール鋼管を使用。60本スポークの19インチホイールに、リーフスプリングとダンパー付きスプリングサスペンションを組み合わせてセット。サイドカーのディメンション変更が行えるように、各部に様々な工夫が凝らされている。 またサイドカーの車体は黒須氏自身がスタイロフォームを削り込んで型を製作している。その上にガラス繊維を貼り込んで仕上げたFRP製だ。サイドカーを取り外した場合もバイク単体として走行できるよう、アクスルシャフト部分をエキセントリック式にして対応している。 「ロイヤルエンフィールドはカスタムしやすかった。エンジンそのものの造形が良く、また配線などもシンプルで、ハンドルスイッチ類などの細かいパーツのデザインもすごく良かった(黒須氏)」
オートバイ編集部