第93回選抜高校野球 天理吹奏楽部 気持ち高まる曲で後押し 事前録音も気合 /奈良
<センバツ2021> コロナ下で開催中の第93回選抜高校野球大会では、甲子園名物のブラスバンドがアルプススタンドから姿を消した。感染拡大防止のためだが、事前録音した音源の使用は認められている。天理では野球部の練習中にも、吹奏楽部が録音した曲を流して士気を高めてきたといい、20日の1回戦でも軽快な応援曲がチームの勝利を後押しした。 多くのレパートリーから「大脱走のテーマ」「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」など「気持ちが高まる曲」を厳選し、部員67人が2月と3月に収録した。同部は、全国大会で30回の最高賞を受賞するなど、その技術はトップレベル。指導する吉田秀高さんによると、応援歌としてよく演奏される「ファンファーレ」も、60年ほど前に天理が演奏したのを機に広まったという。 昨年は、センバツに続く夏の甲子園の中止で落胆した野球部。吹奏楽部も目指していたコンクールが中止に見舞われるなど活躍の場を失った。その分、野球部には「自分たちの演奏で気分を盛り上げて活躍してほしい」と事前録音にも気合が入ったという。 20日、宮崎商戦をスタンドから紫のメガホンを手に応援した山崎かほりさん(3年)は「(中止となった前大会と)2年分の気持ちを込めました」と笑顔を見せた。七回表の好機で「ワッショイ!」を流した直後に4得点を挙げた天理ナイン。山崎さんは「次戦も自分たちの曲で盛り上げたい」と意気込んだ。【広瀬晃子、南迫弘理】 ◇2回戦は「強打」持ち味の健大高崎と 天理が2回戦を戦う健大高崎(群馬)=2年連続5回目=は1968年創立の私立高で、硬式野球部は2001年創部。甲子園へは11年夏に初出場、12年春に4強、17年春は8強入り。今大会で初の頂点を狙う。 強打が持ち味で「打撃でどんどん点を取るチーム」(青柳博文監督)。昨秋の関東大会では強豪校を相次いで撃破し、65年ぶりの連覇を果たした。県大会では6試合で57得点と圧倒。関東大会では4試合で8本塁打を記録し、決勝・常総学院(茨城)戦では延長十一回に2本塁打を放つ勝負強さを発揮した。 小沢周平主将を中心に、桜井歩夢選手ら上位から下位までまんべんなく長打を狙える他、野中駿哉、高松将斗両投手の二枚看板が相手打線を抑え込む。