問われる政治責任 追及のカギは?「3派解散」政権への影響とリスク【バンキシャ!】
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自民党の政治資金をめぐる事件で、東京地検特捜部は安倍派幹部7人の立件を見送り、刑事責任が問われない結果に。幹部は「処分なし」なのか。安倍派、二階派、岸田派の解散による政権への影響とリスクとは──。政治部・平本典昭官邸キャップが解説します。(真相報道バンキシャ!) 自民党の政治資金をめぐる事件についてです。東京地検特捜部は、安倍派の塩谷安倍派座長、下村元文科相、松野前官房長官、西村前経産相、高木前国対委員長、世耕前参院幹事長、萩生田前政調会長の7人の幹部については、立件を見送りました。 ──刑事責任が問われない結果となりましたが、これで幹部は「処分なし」なんでしょうか。 政治部・平本典昭官邸キャップ 「まず大事なのは『刑事責任』と『政治責任』は全く別です。このあとは、『政治責任』をどうとるかをしっかりみていかなければいけない。自民党による処分があるんです。党の処分は最も重いのが、「除名」、そして「離党勧告」。「選挙での非公認」など8段階あります。3年前にコロナ禍で銀座のクラブに行っていた議員は『離党勧告処分』を受けていたんです。ある閣僚経験者は、『クラブ遊びと裏金、どっちが悪いのか』と今回言っています。自民党の刷新本部では『安倍派5人衆を除名すべきだ』といった強硬論も出ています」 ──どの処分になるかを見れば、自民党がどれだけ真剣に受け止めたか判断できますね。そして、もう1つ気になるのが現行の制度が続くと、「秘書だけが責任を取らされるのか」「議員は罪に問われないのか」というところは、政治が自分たちで変えていくんでしょうか? 政治部・平本典昭官邸キャップ 「今、鍵を握るのは『連座制』が導入されるかです。今の政治資金規正法は虚偽記載などの疑いで議員を立件するには、議員から秘書など『会計責任者』への明確な指示などがあったと証明する必要があり、議員立件のハードルは高い。『連座制』とは、会計責任者が有罪になれば、議員も一緒に責任を問われ議員の身分を失う可能性もある制度なんです。導入されれば『秘書のせいですよ』というのはなくなり、『秘書、イコール議員のせい』となるというものです」 ──議員の監督責任が、今より重く問われるようになるということですね。 政治部・平本典昭官邸キャップ 「ただ、導入にはハードルがあります。まず、法改正が必要になる。与党公明党や野党第一党立憲民主党は導入に前向きですが、自民党内に慎重論が根強くあります。取材をしていますとよく聞くのが、『故意に秘書が議員を陥れたら、議員も巻き添えを食らう』といった声を結構聞くんです。ただ、それも含めて同じ事務所内の問題で、監督責任というのは議員も問われると思うんですね。『議員はいつも秘書のせいにしてるんではないか』という不満は、国民の間に多くあると思います。この不満を解消する仕組みを『連座制』も含めて打ち出せるかがポイントになります」 ──今回の事件を受けて、安倍派、二階派、岸田派の3つの派閥が解散することが決まりました。今後、岸田政権の政権運営に影響は出るのでしょうか? 政治部・平本典昭官邸キャップ 「プラス、マイナス両面あると思います。プラス面としては、派閥解消を岸田総理が主導して打ち出しました。党内、もしくは、国民世論から評価されれば、『よく決断した』と総理の成果と位置づけられる。いまは岸田政権はピンチですけど、総理周辺からは『反転攻勢につなげたい』という声も出ている」 「マイナス面は、麻生副総裁との関係が悪化するのではという懸念です。実は岸田総理が21日午後6時頃から麻生副総裁と夕食を共にしながら会談をしているそうなんです。岸田政権を最も近くで支えてきたのは、麻生派、茂木派ですが、派閥解消には慎重姿勢です。麻生副総裁は怒っているといいます。特に岸田─麻生の関係が悪化すれば、今後、政権基盤が一気に不安定化するリスクもあります」 (1月21日放送『真相報道バンキシャ!』より)