「このまま日本で働いて、子育てもしたい」…お茶に魅せられたベトナム女性、家族と永住可能な「特定技能2号」に一発合格
鹿児島県南九州市頴娃のマルマサ製茶で働くベトナム人女性グエン・ティ・トゥさん(26)が、熟練外国人労働者として永住や家族帯同が可能な在留資格「特定技能2号」の試験に合格した。農業分野での2号取得試験は今年始まったばかり。トゥさんは「畑から新芽が出た時の喜びが仕事の魅力。この先も長く働きたい」と笑う。 【写真】特定技能2号を取得し、笑顔を見せるグエン・ティ・トゥさん=4日、南九州市頴娃
トゥさんは2019年11月、技能実習生として来日。霧島市の製茶業者で経験を積み、実習期間の3年が終わった際、最長5年働ける特定技能1号へステップアップ。友人がいたマルマサ製茶で22年11月から働き、茶畑の草取りやすそ刈りなどの管理から、摘み取った茶葉の運搬まで幅広い業務をこなしている。 2号取得のきっかけは、鹿児島市の建設会社で働く同郷のグエン・ドック・ルオンさん(25)との結婚だった。式は1月に故郷で挙げたものの「このまま一緒に日本で仕事を続け、子育てもしたい」と決意。ちょうど同時期、特定技能2号を取得できる職種が拡大され、農業も追加された。 法務省によると、拡大前とはいえ、特定技能2号の取得者は昨年末時点で37人。県内では1人にとどまる難関だ。5月下旬にあった試験も全て日本語で、野菜の育て方や農具の種類など、茶業以外の知識を問う内容も多く出題された。 受験前は一番茶の収穫シーズンとも重なりトゥさんは「畑まで教科書を持ち込み、休憩時間も惜しんで勉強した」。同製茶も日本語の教育費を支援するなどトゥさんを後押し。努力のかいあり一発で合格した。
マルマサ製茶では現在、社員13人のうちトゥさんを含めてベトナム人5人が働く。家族持ちも多いが、家族帯同が認められない特定技能1号や技能実習生のため、子どもを故郷の親元に預け働く同僚もいる。 トゥさんは「周囲の人はみんな優しくて、いろいろと教えてくれる。ここで働けてうれしい」と感謝。同製茶の瀬川義富代表は「仕事の覚えも早く今や欠かせない存在。今後も日本に住みたいと思ってもらえるよう、彼らの立場に立った支援を続けたい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島
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