スマート農業 未来を耕す ドローンや無人農機を活用 テックテック
人口減少に伴い、あらゆる業種で人手不足が深刻化している。農業も例外ではなく、高齢化や後継者不足が課題。そんな中、先端技術を活用した「スマート農業」が注目を集める。ICT(情報通信技術)やロボット技術などを用い、作業の効率化や品質向上を目指す。 【動画でみる】ドローン直播(ちょくは)の様子 5月初旬、京都市右京区の京都ファームの田んぼの上をドローンが飛び、米の種「種もみ」をパラパラとまいた。「ドローン直播(ちょくは)」と呼ばれる技術で、米作りの効率化を目指して農林水産省などが普及に向けて取り組む。 京都ファームは、ヒノヒカリやキヌヒカリなどの育苗から精米までを行いネットショップなどで販売する有限会社。ファームでは中山間地の田んぼの一部で、操縦士を委託しドローン直播を導入する。田んぼ一枚にかかる種まきの時間は数分という。 田植えが終わると、8月上旬にかけて、病害虫や雑草対策のためドローンを使った農薬の散布が行われる。イノシシなど獣害を防ぐ電気柵や傾斜した土地など作業の難しいエリアに、小回りの利くドローンが欠かせない。 ファーム代表の梶谷よしみさんは、「年々、直播面積を拡大し、省力化と収量向上にも取り組んでいる。地域の水田を守り育て耕作放棄地とならないよう『地域の活性化』を目指す」と話す。 一方、農機大手のクボタは農機の自動化・無人化によるスマート農業を推し進める。堺市堺区のグローバル技術研究所は実験用の圃場(ほじょう)などを備え、農機などの研究・開発を行っている。 トラクターなどに、GPSや衝突防止センサーなどを組み込み、自動化や無人化に取り組む。コンバインには収穫量だけでなく、タンパク質や水分量などの食味を計測するセンサーを搭載。圃場ごとに得られた情報を管理し、翌年の生産計画に生かす。 「お客さまの課題を解決するスマート農機の研究開発で地球と人類の持続的発展に寄与したい」と話すのは、研究開発統括部の福永究部長(52)。技術革新や省力化により、今までの米作りから持続可能な〝未来の農業〟がそこまできている。(写真報道局 山田哲司)