米銀大手、純金利収入のガイダンス上振れか-12日から決算発表
(ブルームバーグ): ほんの数カ月前、大手米銀は銀行の最大の収益源である純金利収入の記録的な好調が終わるとの警告を発していた。しかし今は、一部の銀行が純金利収入予想を上方修正する見込みだ。
市場の利下げ見通しが後退したため、一部の銀行が2024年の純金利収入ガイダンスを引き上げるとアナリストは予想。米銀の1-3月(第1四半期)決算発表は12日から始まる。
ガイダンス引き上げを巡り、最も臆測が広がっているのがJPモルガン・チェースについてだ。900億ドル(約13兆7000億円)との現行ガイダンスは現在の金利見通しに照らして控えめだとアナリストはみている。ウェルズ・ファーゴも、見通しを修正しそうだ。
パイパー・サンドラーのアナリスト、R・スコット・シーファーズ氏は、市場の注目はJPモルガンの純金利収入ガイダンスに集まっているとして、「現在のガイダンスは非常に保守的だ。 問題は同行がどれだけガイダンスを引き上げるかだ」と話した。
米連邦準備制度の急ピッチの利上げによって、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、ウェルズ・ファーゴなどの銀行が恩恵を受け、昨年は合計で2500億ドルの純金利収入を記録した。市場が今年6回もの利下げを織り込んでいた1月時点では、誰もがその減少を見込んでいた。
モルガン・スタンレーのベッツィー・グラセック氏は、大手行の幾つかは純金利収入のガイダンスを引き上げる可能性があると述べ、UBSセキュリティーズのエリカ・ナジャリアン氏は、そうしたガイダンス変更について投資家は楽観視していると述べた。
金利上昇は大手行にとって好都合だったが、多くの地銀には大きな痛手となった。より利回りの高い選択肢に顧客を奪われるリスクに直面し、預金金利引き上げを迫られた。
「最も基本的なレベルで、ユニバーサルバンクは高金利長期化の恩恵にあずかり、地銀には金利引き下げが追い風となる」とシーファーズ氏は指摘した。