ディズニーの「大規模イベント」に見た2つの戦略。会場には韓国からの有名スターも続々参加
コロナ禍の混乱と試行錯誤を経た、ここ数年の深刻な不振を乗り越えようとしてきたディズニー。クリエイティブ指針の転換などさまざまな施策の効果が現れはじめた今年、日本では劇場映画興行に復調の兆しが見えている。 そんななか、ディズニープラスにおいてグローバルに訴求するアジアを軸としたローカル作品開発への注力を明確にアピールしたのが今回のショーケースだ。 そこでの主役は日本ではなかったが、ここからの日本の奮起が、アジア発のローカルコンテンツシーンをより活性化させ、クリエイティブもクオリティも世界標準へと引き上げていくことにつながるのではないだろうか。
日本のエンターテインメント業界にとって、『SHOGUN 将軍』はひとつの突破口になる可能性があるだろう。繰り返しになるが、確かにいま風は吹いている。アニメだけが世界的な訴求力を持つ日本コンテンツではないことを示す時代の流れが来ており、ディズニープラスはその先頭グループで新たな波を起こそうとしているのだ。 ■Jドラマが世界を席巻する時代目指す ウォルト・ディズニー・カンパニーAPACオリジナルコンテンツ、エグゼクティブ・バイスプレジデント兼ウォルト・ディズニー・ジャパン 代表取締役社長のキャロル・チョイ氏は「アジアから世界中へ発信される作品は、いまや世界中のどんな視聴者にも選ばれる最高のエンターテイメントとして定番になりました。世界中で共感を呼び、熱狂的なファンを築くワールドクラスの作品がアジアに集まっています」とし、『SHOGUN 将軍』の世界的な成功による日本ドラマのさらなる強化に言及した。
一方、柳楽優弥はステージから「新しい日本のドラマが生まれる時代が来ている。Jドラマを世界で盛り上げたい」と力強く宣言していた。その新しい世界は、こうした俳優の意識とグローバルプラットフォームのアジアを重視する戦略からいままさにはじまろうとしている。 日本発のオリジナルドラマの世界ヒットでは、ここ最近でも『忍びの家 House of Ninjas』や『地面師たち』などNetflixの作品がいくつも話題になった。そこにディズニープラス作品が加われば、世界から日本ドラマへの注目度はより高まり、コンテンツの拡充とともに日本市場が世界と地続きになる未来も夢ではない。
ディズニーが掲げる、本物を追求するドラマ制作から、国内外におけるヒットを連発していく未来は、決して希望的観測ではないことをこれまでの作品のクオリティが物語っている。力いっぱいアクセルを踏み込む姿勢を明確に示したディズニーへの期待が高まる。
武井 保之 :ライター