呂布カルマが語る対談への姿勢「夢みたいな仕事が実際にある」
ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では『著名人との対談』について語った。 * * * ★今週のひと言「さまざまな著名人との対談。事前準備なしで臨む理由」 地方出身・在住のアンダーグラウンド日本語ラッパーである俺には、なぜかたびたび著名人との対談の仕事が舞い込む。 某番組におけるディベート対決企画での活躍なんかも影響しているのかもしれないが、俺をさまざまな業界の人間と話をさせようとする人たちがいるのだ。 その振れ幅は政治家や格闘家、映画監督やテレビタレント、そして同業のラッパーをはじめとしたミュージシャンから芸人、YouTuber、果てはグラビアアイドルまで多岐にわたる。 個人名をあえて挙げないのは、それをすると挙げ忘れた人が出てきてしまって失礼だからだ。 これまで、それぐらい多くの著名人たちと対談させてもらってきた。 俺は基本的には人見知りのくせに初対面の人と仕事で話をさせてもらうのは嫌いではない。というか仕事としてラクだから好きだ。 対談相手によっては事前に俺のことを軽く調べて情報を入れておいてくれる人や、中には俺の著書まで読んでくれている人もいて大変ありがたいのだが、俺はそのような下準備はしない。 名前しか知らないような人とでも、こと仕事となれば楽しくお話ができてしまうからだ。 事前知識に基づいての会話だと、初めましての読者にとっては前提がはしょられてしまい、説明不足に感じることもあるだろう。 俺はインタビュアーではないから、失礼は承知で空っぽで臨む。そうすると相手は俺が何も知らないとわかり、説明を省かず丁寧に話してくれるのだ。 ただ......認めよう、これはこじつけだ。事前準備を怠っているだけで、そうした非礼を無理やり正当化しようとしているに過ぎない。 この精神はワイドショーや情報番組でコメンテーターをやらせてもらうときにも共通している。 専門家やメインMCがいる中で、番組に出演する際、俺が付け焼き刃の知識で武装したつもりになっても、たかが知れている。 当然、視聴者の知識や理解度もまちまちだ。全員が物わかりが良ければ、そもそもコメンテーターなんて必要がない。 いろいろな層が見ているのだから、俺はなんだかわからないチンピラ然としたビジュアルのラッパー風情としての一意見を発表すればいいのだ。そこに正も誤もない。俺が、個人的にそう思ったというだけの話なのだ。 だから、その手の番組の楽屋にはその日扱うニュースの資料を大量にプリントアウトしたものや、新聞が数紙置いてあるのだが、申し訳ないことに俺は直前の打ち合わせ以外で開きもしない。 テレビなどでのコメントは、無難な意見以外は何を言おうが逆サイドの立場からネットなどでボロクソ言われるのが常だ。 それを恐れてかコメンテーターという仕事を敬遠するタレントさんも多いようだが、俺ぐらいラフに向き合っていれば、逆にこんな簡単な仕事はないのに、と思う。 対談も同じだ。 ただ、どうせ顔を突き合わせて対談するなら、やはり同じ年代やそれ以上のおっさんおばさんよりも若いグラビアアイドルなんかが相手だと単純にありがたい。 もしも俺が一般のおっさんだったら、ようやく接触できるかできないかの憧れのグラビアアイドルたちと、楽しくおしゃべりするだけでいいのである。 世の中には、そんな夢みたいな仕事が実際にあるのだ。 撮影/田中智久