数々の化石を発掘したパナソニックのサラリーマン、「人生で最高の“発見”」は妻だった
■「かお」獅子島で化石発掘調査を続ける宇都宮聡さん=大阪府守口市 【写真】海岸で恐竜の化石を探す宇都宮聡さん(手前左)と子どもたち=8月5日、長島町獅子島
「ここは宝の島。若い研究者は海外ばかりに目を向けず、足元日本での調査にも注力してほしい」。20年前に鹿児島県長島町(当時東町)獅子島でクビナガリュウ「サツマウツノミヤリュウ」の化石を発見して以来、たびたび島を訪れ、発掘調査にいそしむ。これまでに翼竜や東アジア最古級のウミガメ、草食竜イグアノドン類の化石などを見つけた。今夏は調査と並行し、町の発掘体験ツアーを支援した。 愛媛県生まれ。大阪でパナソニックに勤務する傍ら、週末に調査研究に携わる「サラリーマン化石ハンター」だ。中学生のとき、住んでいた高松市であった発掘体験ツアーで化石に目覚めた。「市井の研究家でも、努力すれば大発見できる可能性がある。発掘の過程は宝探し。その後に太古の謎を解く楽しみまである」と目を輝かせる。 自身の名を冠したクビナガリュウの未摘出の骨が埋まった岩塊が、鹿児島県立博物館の倉庫にたくさん眠る。「いつか機会を見つけてクリーニング(化石周辺の余分な岩を削り取る作業)をし、全体像を明らかにしたい」と力を込めた。
大阪府守口市で「人生で最高の“発見”」という鹿屋市出身の妻・美穂さん(56)と2人暮らし。クビナガリュウ発見の数年前、鹿児島営業所時代に同僚として出会った。「鹿児島勤務では温泉にもはまった。今でも発掘作業後は必ず漬かり、心身ともにリラックスしている」と話す54歳。本紙オセモコ面で「じつは恐竜王国!鹿児島県」を連載中。
南日本新聞 | 鹿児島