トレーディングルームに響いた「ついに」の声、日銀が17年ぶり利上げ
日本の成長に対する楽観的な見方もある。ロベコ香港のポートフォリオマネジャー、ケルビン・レオン氏は、「金利が少なくともゼロに戻るということは、経済が健全で力強いことのシグナルでもある」と語り、「ベストプレーは日本の不動産デベロッパーだ」と付け加えた。
一方、クレジット市場はマイナス金利のない世界がどのようなものになるかを見極めていた。
アセットマネジメントOneの加藤晴康ファンドマネジャーは、日銀が社債の買い入れを徐々に減らし、1年後をめどに終了するとしたことについて、毎月かなりの金額を日銀に売却してきたとし「ちょっと寂しい」と胸の内を明かす。同社では19日、歴史的瞬間に立ち会おうと出社する社員が多かったという。
ほぼ4850マイル(約7800キロ)離れたシドニーでは、マーケット歴27年のベテラン、ニック・トウィデール氏が祝杯をあげていた。同氏は豪準備銀行(中央銀行)本店にほど近いオフィスで、円相場が1ドル=149円90銭付近まで下落したのを受けて円売り・ドル買いの持ち高を手じまい利益を手にした。
「われわれは確かに勝ったと感じる。日銀会合に向けて市場には多くの円ショートがあった」と、シサ・コンサルティングのディレクターであるトウィデール氏はコメント。同氏は短期的に円が下落すると予想し、さらなる利益の確保に期待している。
今回の決定を注視していたのはプロのトレーダーだけではない。日本の個人投資家も通貨の売買を増やしており、今年に入り少額投資非課税制度(NISA)が拡充されたことで株式投資への関心も高まっている。
「やっと来たか、という感じだ」と話すのは、四国を拠点とする個人投資家の乾和也氏。「発表後に円安が進んだので、ショートの機会をうかがっている」と、日銀の決定から約1時間後に語った。
債券弱気派
もちろん慎重な見方も多い。趣味で株取引をしているヘアスタイリストの天野泰孝氏(41)もその一人だ。