九州新人戦を3位でフィニッシュ 日章学園が示した日本一の可能性
2月17日から20日まで鹿児島県で行われた第45回九州高校U17サッカー大会は神村学園の11年ぶり3度目の優勝で幕を閉じた。新たなシーズンを迎える前に多くのチームや選手が可能性を示したなかで、今大会で躍進の予感を漂わせたチームがある。それが3位に入った日章学園だ。 【フォトギャラリー】 佐賀東 vs 日章学園 惜しくも初優勝は逃したが、4大会ぶりに3位でフィニッシュ。17日と18日はエースでプロ注目の高岡伶楓(2年)が高校選抜の活動で不在となり、大会を通じて数名の選手が学校行事で欠場したなかでチームは目覚ましいプレーを見せた。 今大会は県予選で採用した4-4-2ではなく、3-4-2-1を採用。「高岡と南(創太/2年)の良さを出すのであれば、この布陣が一番」と話した原啓太監督の狙い通り、攻撃陣は17日の予選リーグからゴールを重ねた。高岡不在だったが、南を中心に縦に速い仕掛けで相手を凌駕。予選リーグ3試合で12得点を奪取した破壊力は凄まじかった。その一方で浮き彫りになったのが、守備陣の不安定さだ。 今大会は3バックの真ん中にCB吉川昴我(2年)が入ったものの、両脇は主力が不在で経験値が浅い1年生CBが務めた。そうした影響を受け、初戦の柳ヶ浦戦は開始2分で失点。味方GKのフィードを相手に奪われ、そのまま一気にゴール前まで運ばれてネットを揺らされた。そこから4ゴールを奪って逆転勝利を収めたが、最終ラインの背後を何度も取られる場面が散見。プレスがハマらず、組織的な守備がまるでできなかった。 高岡が戻ってきた19日からの決勝トーナメントでも守備陣が安定せず、1-0で勝利した鹿児島城西との準々決勝後に実施された準決勝では、またしても守りでミスが出る。大津戦は大雨の中で行われたが、開始8分に失点。そこから一気に崩れ、前半だけで0-3にされると、後半も3点を追加されて1-6の大敗となった。 そうした状況下で大会を通じて経験値を無駄にせず、続く20日の3位決定戦では佐賀東に6-0で完勝。高岡と南の2シャドーが躍動し、それぞれ1ゴールずつを奪った。高岡は球際の強さと推進力を示し、南は得意のドリブルで相手を翻弄。守っても高岡が最前線からハイプレスを仕掛け、呼応するように中盤の選手が動いてボールを刈り取った。また、この試合では1トップで起用されていた水田祥太朗(2年)を右のウイングバックで起用。180cm近いサイズとフィジカルの強さを生かしたプレーで可能性を示したのは明るい材料だった。 浮き沈みはあるが、個性的なタレントが融合すれば日本一も現実的な目標として視野に入ってくる。 「去年からディフェンスラインが変わっているなかで、経験値が少ない選手が6試合を味わえたのは良かった。決勝トーナメント1回戦(準々決勝)の鹿児島城西戦とかも、負けたら帰らないといけないシュチュエーション。あのようなヒリつく展開のゲームを初めて味わう選手が半分ぐらいいたので、そこで勝ちきって、3位決定戦も買って終われた経験は次につながると思う」 原監督が振り返った通り、この6試合の経験値は大きい。今季は高岡が代表活動やプロの練習参加などで不在になる試合も多くなるため、さらなる選手層の底上げは求められるが、彼らが残した爪痕はシーズン開幕に向けて大きな一歩になったのは確かだろう。 (文・写真=松尾祐希)