「メジャーじゃない外国語」を大学で勉強したい娘…その希望、サポートすべき?
親の本音は見抜かれる
しかも、この娘さんはお母さんの意思を尊重して、本心を言っていないと思います。ここでお母さんにしてほしいサポートは次のようなことです。 まずは「子どもが親の意思を尊重している」現状を「親が子どもの意思を尊重する」形に変えましょう。「あなたが学びたい言語を学べる大学に行くのがいいんだよ」とストレートに言ってあげてください。このとき、自分の気持ちを隠す必要はありません。「できれば自宅から通ってくれたら安心ではあるけどね。遠くの学校に行くとしても応援するよ」と真摯に、かつフラットに本心を伝えていいです。なぜなら、ここで親が本音を言わなければ、子どもに見抜かれるから。「口ではこう言っているけど、本当はそう思っていないな」と思われてしまったら、子どもの本心も出てきません。 言葉だけでなく、心から応援してあげるのが親の役目です。もし、お母さんの気持ちの中に「マイナーな言語を勉強して役に立つの」とか「知らない土地の大学なんて」といったことがあるなら、その言語や志望校になりそうな大学について自身でも少し調べてみるといいかもしれません。知らないということが、過剰な心配につながっている可能性もあります。自分の本当の気持ちをオープンにしたうえで、もしお母さん自身が予想できているなら、「一番行きたいのは〇〇大学?」と聞いてみましょう。
「どう思う?」と問いかけて
このご家庭の状況は、まさに「かわいい子には旅をさせよ」です。これまでそれなりに干渉してきたのだろうと想像しますが、それをいきなりゼロにすると、子どものほうでも戸惑ってしまいます。まずは少しずつ「あなたはどう思う?」と問いかけて、子ども主体の関係に変えていきましょう。ただ、娘さんは主体的に学びたいことを見つけているので、あまり問題はなさそうです。 お母さんがなすべきことは、ひとことで言えば「勇気を持つこと」です。子どもを信じて、これまで子どもに向けていたエネルギーを徐々に減らしていくといいと思います。幸いなことに娘さんは高校1年なので、大学進学で自宅を離れることになるとしても、それまでにまだ時間はあります。お母さん自身の時間が増えるとポジティブに捉えて、いろいろなことを楽しむ準備を始めてみてはいかがでしょう。
プロフィール
道山ケイ(みちやま・けい)/年間約3000組の親子をサポートする思春期の子育てアドバイザー。元中学校教師の経験を生かして思春期の子育て法(愛情バロメータ理論・なかよし貯金理論)を確立。メルマガとLINE講座の読者は合わせて5万人を超え、「親子関係が良好になる」「子どもの成績が上がる」と話題に。各種メディアへの寄稿のほか、著書に『親子で一緒にやるからできる中学生の勉強大全』(主婦の友社)、『ウチの子、最近、思春期みたいなんですが親子でイライラせずに乗り切る方法、教えてください!』(すばる舎)などがある。
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