追い込み迎えた駿河湾の「桜えび漁」、厳格な資源管理で漁期は年2回だけ
桜えび漁が年内最後の追い込みに入っている。桜えび漁は、国内でも駿河湾でのみ春と秋の年に2回行われており、秋漁は今月25日まで。港では鮮やかな紅色に染まったケースが次々と船から運び出され、水揚げされた桜えびは翌日には競りにかけられて年末・年始の市場に出回る。
午後6時、桜えびの水揚げ
大井川河口にある大井川港漁業協同組合。夕方に訪ねると「今日は午後4時に出港しました」という威勢のいい返事が返ってきた。桜えびは富士川や大井川、安倍川の河口海域に生息しているという。暗くなると海面に上がってくるため、船は夕方に出港し、暗くなった海面を2隻で網を引いて漁を行う。 太陽が太平洋に沈み、大井川港全体が夜のとばりに包まれる。午後6時。真っ暗な海面の遠方から光がさし込むと、だれもいなかった港に人影がチラホラ。桜えび漁の最初の船が帰ってきたのだ。その後、漁船が次々と港に着くと、周囲が俄然、活気づいてきた。漁船には山積みになったケースを囲むように男たちが立ち、大きな声が飛び交う中、桜えびの水揚げが始まった。
厳格な資源管理、漁は年に2回だけ
「ちょっと小ぶりだけど、まぁ、いい方だ」と作業中の男性。産卵の時期が遅れると成長が遅れ、小ぶりの桜えびになってしまうという。「6月末から11月まで漁業者が産卵調査をしています」と同漁業協同組合の大場祐一参事は話す。県は桜えびが水揚げされるたびに、大きさなどを調べている。桜えび漁は厳格な資源管理のもと、主に大井川と由比の2つの漁港に属する計120隻の漁船だけで、年に2回だけ行われている漁なのだ。 水揚げされた桜えびは、ひと晩、港に保管されて翌朝、競りにかけられる。25日の漁が天候などにより中止にならなければ、26日に今年最後の競りがおこなわれる。競りが終わると港にはしばらく、静かな時が流れることになる。 (取材・三好達也)