パリ五輪柔道で史上初の連覇 永瀬に長崎県民栄誉特別賞 地元に感謝「何度も支えに」
今夏のパリ五輪柔道男子81キロ級で史上初の連覇を成し遂げた長崎市出身の永瀬貴規(31)=旭化成、長崎日大高出身=に25日、県民栄誉賞特別賞が授与された。表彰式に出席した永瀬は「生まれ育ったこの地で、家族や恩師、たくさんの仲間に支えられた。困難に直面した際、何度も支えとなってくれた」と地元への感謝を述べた。 県民栄誉賞の受賞後にさらに顕著な功績があった人に県から贈られる賞で、同じく五輪を連覇した体操の内村航平氏=諫早市出身=に続く2人目の受賞者となった。永瀬は東京五輪で初優勝した2021年に県民栄誉賞を受けていた。 県議会議場で行われた式典では、大石賢吾知事が「県民に明るい希望と活力を与えた。今後一層の活躍を祈念するとともに、永(なが)くその栄誉をたたえる」として表彰状を贈呈。永瀬は、招待された長崎日大高の部員や一般観覧者を前に「今後も競技活動を通じて長崎の発展に貢献できるよう、柔道家としてまい進する」と意欲を語った。 パリ五輪で永瀬は5試合を戦い、相手に技のポイントを一つも奪われずに快勝。銅メダルだった16年リオデジャネイロ大会、金メダルの21年東京大会に続いて3大会連続で表彰台に上がった。 長崎市もこの日、スポーツ分野では初となる「栄誉市民」の称号を永瀬に贈り、顕彰式でたたえた。長崎市スポーツ協会も永瀬を表彰した。 ◎永瀬の一問一答/来春から大学院で柔道を探究 パリ五輪での金メダル獲得後、初めて長崎に帰郷した永瀬貴規は周囲への感謝を語るとともに、今後についてもわずかながら言及した。25日の県民栄誉賞特別賞表彰式の後に行われた記者会見と、24日の長崎日大高訪問時の囲み取材での一問一答は次の通り。 -東京五輪はコロナ禍で、金メダルを取った後の県民栄誉賞の表彰式も制限がある中で開かれた。今回は一般観覧客の祝福を受けた。 前回はオープンに行事ができない状態だった。制約が解けて、一般の方もご来場いただいて名誉ある賞の喜びを共有できた。帰ってきてよかった。県民の皆さまの応援、支えがあるからこそ今回の結果や今の自分がある。感謝を伝えたい。 -表彰式に母校・長崎日大高の松本太一監督や部員も出席した。 こういう場で後輩たちが何かを感じてもらって「私も頑張ろう」と一歩踏み出す機会になればうれしい。 -自身3度目の五輪を振り返ってみて。 この4年間や8年間ではなく、小さいころから積み重ねてきた柔道人生の全てを出せた。出し切れた。そんな大会だったんじゃないか。 -帰国後の約1カ月半はどう過ごしたか。 ゆっくりする時はして、体を動かせる時は汗を流して。報告会やイベントに呼ばれる機会も多く、五輪のすごさや影響力を感じる。 -今月31歳を迎えた。今後については。 まだ競技面で次の目標を定めきれていない。こういう名誉ある賞をいただいたので、柔道家として、一人の人間として皆さんのお手本になりたいという思いは強くある。 -来春から母校・筑波大の大学院に進学する。 柔道の競技面はもちろん、コーチングの面でも深く知ることで、自分の柔道に生きる部分があると思う。視野を広げて、いろんな情報を身に付けて人生に生かせたらと考えている。