「TSMC進出はプラス」 半導体製造装置国内最大手・東京エレクトロン河合社長が語る「戦略拠点」熊本のポテンシャル
半導体製造装置国内最大手の東京エレクトロン(TEL、東京)の河合利樹社長兼最高経営責任者(CEO)が西日本新聞のインタビューに応じ、半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出について「日本、九州の経済にプラスに働き、非常にポジティブに考えている」と歓迎した。生産子会社東京エレクトロン九州(熊本県合志市)に関し、「今後も投資機会は出てくると思う」と言及した。 【写真】河合利樹社長兼CEO TEL九州では塗布現像装置や洗浄装置を開発・製造。河合氏は「当社の装置を通らずにつくられる最先端半導体はないといっても過言ではない。熊本は技術革新を支える重要な戦略拠点」と強調した。現在、430億円をかけて開発棟を建設中で、25年夏に完成予定。グループ全体では今後5年間で研究開発に約1兆5千億円、設備投資に約7千億円を充てる計画で「まだスタートラインだ。成長のポテンシャルを最大化していく」と意欲を見せた。 TELは半導体の微細加工で欠かせない成膜、塗布現像、エッチング、洗浄の連続する工程に使う装置を世界で唯一そろえる。最先端半導体の製造に使う極端紫外線(EUV)露光向け塗布現像装置は世界シェア100%を占める。半導体市場の成長を背景に株価が上昇し、時価総額でトヨタ自動車、三菱UFJ・フィナンシャルグループに次ぐ国内企業3位に浮上している。 (金子晋輔)