上岡龍太郎さんが語っていた「M-1に出たら予選落ちするわ」 引退後の生活についてサンミュージック社長が明かす
M-1について「僕が出たら予選落ちするわ」
最近の芸人について語ったこともあったという。 「“師匠、(日本一の若手漫才師を決める)M-1とかどう思いますか?”と聞いてみたんですよ。そしたら“今の芸人はほんまにうまい。僕が出ても絶対に勝てへんやろな。予選落ちするわ”と真面目な顔でおっしゃってました。さらに“今の子たちは全体的なレベルが昔とはまるで違う。芸人稼業も大変やと思うわ”とも。心からそう思っておられる感じでした」 講談師としての顔もあり、「旭堂南蛇(なんじゃ)」の芸名も持っていた上岡さんに対して、酒席をともにする連中が無理な注文を出す、つまり“無茶ブリ”することもあった。 「講談のあの話をやってほしい、と誰かが言えば、上岡さんは“あれはこれこれこういう話で……”と軽く解説され、すぐその講談をやるんですね。引退されて何年もたってましたが、それは見事なものでした」 20世紀も終わろうとするあの時代、上岡さんの話芸はテレビ業界で並ぶ者とてない水準にあった。その才は晩年まで衰えることがなかったようだ。
ライター・華川富士也 「週刊新潮」2024年5月23日号 掲載
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