久美浜子供太鼓「あまべっこ」

　ドンドンドン、ドドン、ドドン-。子どもたちが元気いっぱいのバチさばきを見せて、小気味良く和太鼓の音を響かせる。「腕をもっとしっかり上げて」。指導役の小森明美さん（82）=京都府京丹後市久美浜町=が額に汗を流しながら、懸命に呼びかける。小さな奏者たちはそれに応えるかのように、顔の表情をきりりと引き締めて、バチを振るう手に一層の力を込めた。 　メンバーは小学6年の3人と2年の1人、園児1人の計5人。毎週土曜日の午前9時から10時まで、旧海部（かいべ）小体育館（同町）で保護者たちと一緒に稽古に励む。地域の夏祭りや秋の文化祭、敬老会など月1回のペースで華やかな法被を身にまとって出演し、地域住民たちに親しまれている。「あまべっこ」は、「海部（あまべ）の里」という地域の昔の呼び名にちなむという。 　4歳の時に和太鼓を始めた高龍小6年の児童（11）はその魅力について「リズム良く打てた時は気持ちいい。本番の演奏で、かっこよかったよ、と声をかけてもらえるのがうれしい」と話す。母親は「自宅でも、太鼓のリズムを思い出すようにして足をよく動かしている」と、努力の一端を明かしてくれた。 　演目の一つ「かがり火」では、バチの両端に炎を表現する赤い房を付け、演奏とともに勇壮で華麗な動きで聴衆を魅了する技も磨く。「大人でも難しい動きを、子どもたちは根気よく練習を重ねて会得していく」と小森さん。「演奏が上達していく中で、たくましく成長していく子どもたちの姿が頼もしい」と優しく見守る。 ≪久美浜子供太鼓「あまべっこ」≫ 　久美の浜太鼓保存会（京丹後市久美浜町）のメンバーだった小森さんらが、担い手育成を目的に1992年に設立。最盛期には20人ほどが活動していた。来春に6年生3人が卒業するとメンバーは2人となり、目下「存続の危機」（小森さん）。