福田師王をイメージして奪った残留弾。神村学園FW西丸道人が背中に宿す“13番”の誇り。ベガルタ新監督との出会いは「かなり楽しみ」
“日本一”で新たな歴史を刻めるか
「師王さんは常に先を走っている。だからこそ、僕は置いていかれないようにやらないといけないんです」 当然、この結果で満足できているはずがない。ずっと身近で見てきた選手が高卒で世界に羽ばたき、U-22日本代表でも存在感を放っている。 負けたくない気持ちと、そんな世代を代表するストライカーとともに過ごせた日々への感謝、その幸せを無駄にしたくない――西丸はそれらの想いを大切にして、今を過ごしている。 「師王さんのプレーをただ見ていたわけではなくて、ずっと学んでいた。分からないことがあったら聞いたり、『この局面ではどうやって動き出しているか』と思いながら、自分なりに分析して見ていました。だからこそ、大事な局面でその動きがイメージとして出てくるようになったと思っています」 こうした視点、姿勢を持っていること自体が、西丸の大きな武器だと筆者は思う。鋭い洞察力を持った選手は、良いチームメイトや良い指導者と出会うことで大きく成長する。神村学園で最高の出会いがあり、そしてこの先もさらに重要な出会いがある。 西丸が加入する仙台の指揮官には、U-17日本代表を長年率いてきた森山佳郎監督の就任が決まっている。 「(就任発表されてから)すぐに我空や夢希から『かなり厳しい人だよ』と言われましたし、塁さんからも『きついぞ~』と言われて、『マジか』と思いました。でも3人とも、人間としても指導者としても素晴らしい人と言っていたし、僕もそうだと思っていたので、来年はいろいろなことを積極的に学びたいと思っています。厳しいタイプの人のほうが僕には合っていると思うので、多くのものを吸収していきたい気持ちですし、かなり楽しみです」 目を輝かせる13番は、高校サッカー選手権の鹿児島県予選という重要な試合を控えている。 「師王さんたちは確かに凄かったけど、日本一に届かなかった。だからこそ、それを僕らが達成して新たな歴史を作りたい」 これまで培ってきた洞察力と表現力を発揮し、福田たちが果たせなかった夢に向かって加速していくために。背中に宿した13番の誇りを持って、まずは選手権の出場権を懸けた戦いに闘志を燃やしている。 取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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