自分の力を冷静に受け止める脇本雄太 交差する自力最強の意地と将来への思い
■脇本雄太連載コラム「脇本雄太の競輪無双十三面待ち ~そして伝説へ~」 2024年の脇本雄太は大宮記念出場も、2日目を走り終えた後に体調不良で途中欠場となってしまった。いわき平記念で再始動を図る1年になるが、今年考えていることは何なのか。また、昨年の立川「KEIRINグランプリ2023」では何を狙い、レースの中でどんな判断をしていたのか。(取材・構成:netkeirin編集部)
グランプリ後、相棒のGI総ナメ発言に慎重な姿勢も
グランプリ発祥の地・立川で行われた「KEIRINグランプリ2023」は北日本2人、中国2人、単騎3人で、脇本雄太(34歳・福井=94期)は古性優作(32歳・大阪=100期)とのタッグで挑んだ。新山響平(30歳・青森=107期)が前受けから突っ張り先行を確立した2023年。どうなるーー。 「作戦は色々と決めてはいました。単騎勢を入れない中団が一番良かった」 が、深谷知広(34歳・静岡=96期)が瞬発力よく飛び出したこともあり、新山が前受け、3番手に深谷が続く形になった。その時は「単騎の誰かが前に入ったら一番後ろでと思っていた」と深谷の姿を見て、後方からを選択。「新山君が青板BSくらいから後ろを確認していたので、カマシを狙おう」と長い周回、勝負の時を見据えた タイミングが来たのは「前にいた単騎の2人が外に外したので、そこで外を踏もう」という打鐘が鳴る前。600メートルを超える距離でも、それがワッキーの勝負だった。無論、新山の動きを綿密にとらえていた。 「新山君はビジョンを見て、僕の動きを把握してくるんです。競輪祭でもありました。それに立川は1センターにビジョンがあるので、それを見ている目線を外して仕掛けようと思っていました。1センター辺りではわざわざボクを直接見なくて済むので。そこを通り過ぎないとタイミングはない」 誤算は出切るところで「ホームでは古性君と2人で出切っているイメージでした。でもホームも取れていないんですよ、あのレースは」と新山を叩くまでに時間がかかってしまったこと。「出切るのに時間がかかった以上、あとは自分がやるべきことをするだけ」と懸命に踏み続けたが、脇本が8着、古性が4着という悔しい結果に終わった。 古性はレース後、「2024年は近畿でGIを総ナメしたい」と標榜し、和歌山記念でもその意志を強調した。ただワッキーは「僕がそこについていけるかはわからない」と苦笑い。自分自身が何をできるのかを、また近畿勢がどう戦えるかを考える。和歌山では福井の後輩・寺崎浩平(30歳・福井=117期)の奮闘もあったが、「寺崎君にかかる負担が大きくなるのは良くない。自力選手だけじゃなく、後ろを回る選手も増えないと厳しい」と冷静にみる。