「自分は真面目で善良な人間だと思ってた…」バリキャリ女子が自分に欠けていたことに気づくまで【作者インタビュー】
夫婦エッセイや過保護ママをテーマにしたセミドキュメントなどを描いている、福々ちえ(@fukufuku_comic)さんの漫画「仕事のできる女と、怒りのバターチキン」が話題だ。本作は、とあるカレー店で揉め事に遭遇した女性が、その出来事を機に自身のモヤモヤと向き合う姿を描いた「モヤモヤ社畜OLと、勇気のマサラカリー」の続編で、前述の揉め事を近くで見ていた別の客の視点から物語が紡がれている。本作について、作者の福々ちえさんに話を伺った。 【漫画】本編を読む ■「より現実世界をやさしく受け止めてもらえたら」 前作となる「もやもや社畜OLが、スパイスカレー食べて元気になる話」について、福々さんは「昼間の駅で揉めてる人を見たんですよね。サラリーマンの方が、同じくサラリーマンの方の襟首を掴んで叫んでいて。 『何事!?』と思ったと同時に、“私これ見なかったことにして通り過ぎていいのかな”と自問自答しました。こういう自分の『正しさ』を揺さぶられる瞬間ってあるなぁ、と。それをテーマに作った漫画が『もやもや社畜OLが、スパイスカレー食べて元気になる話』です」と、創作に至った経緯に言及。 そんな前作の続編として「仕事のできる女と、怒りのバターチキン」を描いた理由を尋ねると、「たまたま同じ店にいた女性を視点を変えて漫画にしたのは、より現実世界をやさしく受け止めてもらえたら、との思いからです。2作目は、1作目と違っていわゆる“嫌な女”を主人公にしました。同じくカレーを食べて奮起したはずが、逆に自分を追い込む事態になっちゃって…と受難が続きます。 こんな風に、人間にはひとりひとりドラマがあるんですよね。たまたま隣り合わせた、同じ場所にいた、すれ違った。そんな人たちにも、それぞれ葛藤やドラマがあると想像できれば、世界がやさしくなるかも…なんて考えたりします」と、真意を明かしてくれた。 最後に福々さんは、「私の漫画は、人間讃歌がテーマです。悪者はいません。悲しい人や弱い人がいるだけです。私は親のことでずいぶん長く恨みつらみ(笑)を持ってたのですが、『親にも事情があったんだ』と気づいたら、怒りが溶けて消えた体験があって。この経験を読者さんにも疑似体験してもらえるような、そんな漫画を描いていきたいです」と、自身の創作への思いを語った。 ■取材協力:福々ちえ(@fukufuku_comic)