パリへの道 羽根田卓也、「水の呼吸」で金 「いかに水の声を聴いて、感じて、スピードに変えることができるか…それが極意」/カヌー
カヌー・スラローム男子カナディアンシングルでパリ五輪代表の羽根田卓也(36)=ミキハウス=がサンケイスポーツの単独インタビューに応じた。2016年リオデジャネイロ五輪で日本勢初の銅メダルを獲得したハネタクは、5大会連続となる大舞台に向け、〝水の呼吸〟の修得と技術を磨いてきた。集大成となるパリで2大会ぶりのメダル獲得を目指す。【取材構成・鈴木和希】 ──5大会連続出場となるパリ五輪開幕まで1カ月を切った。現在の心境は 「いよいよだなと気持ちが高まっています。自分を取り囲む環境も五輪ムードになってきて、戦闘モードに入っています」 ―─既にパリのコースで練習を積んでいる 「3月と5月に計3週間、パリで合宿を行いました。本番のコースは普段練習している東京(江戸川区)のコースと非常に似ていると感じています」 ──似ている点は 「コースの幅や水の量、落差が似ているので、漕いでいる感覚が東京のコースに近い。地の利がすごく働く競技なので、大きな武器になると思います」 ──五輪4度出場の経験も生かせる 「五輪はプレッシャーがかかるし、他の大会とは全く違う雰囲気なので、多くの選手が実力を出せずに終わってしまう。自分も北京のときはそうでした(初出場で14位)。だけど、5回目となると五輪の酸いも甘いも知っているし、観客席が埋まるとどんな雰囲気になるかも、どの選手よりも熟知している。自分の力を出し切ることができるというアドバンテージはあると思います」 ──東京五輪は10位。その後の取り組みは 「技術に重きを置いて磨いてきた自負があります。最近のトレンドとして、技術力が求められるコースセットが増えてきているので、経験と技術力の高さが鍵になってくると思います」 ──どのような技術を高めてきたのか 「水の流れを感じることです。僕は〝水の呼吸〟と呼んでいます。単純なスピードだけではなく、いかに水の声を聴いて、感じて、スピードに変えることができるか。それがこの競技の極意であり、いろはです。感覚的ですが、そこを磨いてきました」 ──パリは〝芸術の都〟とも呼ばれる。芸術への関心は